手数料0円ETFで「カルテット(四重奏)運用」を構築

 前述のように、投資環境の変化次第で好不調が入れ替わる資産別のリスク・リターン特性を理解し、内外資産に広く分散投資をすることで「運用資産全体のリスク低減」を目指したいと思います。

 国内の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金の管理・運用を実施しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、株式5割(国内株式25%+外国株式25%)・債券5割(国内債券35%+外国債券15%)で構成される「基本ポートフォリオ」(基本的な資産配分)に沿って運用しています。

 ただ、年金のような巨額資産の運用でない個人投資家の方々は、REITや金などオルタナティブに連動する投資商品を活用してポートフォリオを構築することが可能です。図表3では、リスク・リターン特性が異なる内外資産に広く分散投資することを目的とした「カルテット(四重奏)運用」をご紹介しています。

<図表3>カルテット(四重奏)運用の概要<参考情報>

(1)4種類の資産クラスに幅広く資産配分(株式30%、債券25%、REITは30%、金15%) 
(2)株式とREITは国内と外国に等配分を基本
(3)債券は金利水準を加味して国内債を10%、外国債に15%
(4)金に15%を配分する(以上で合計100%)
(5)年末にリバランス(市場変動で生じた配分比率のズレを当初配分に戻す調整売買)

 カルテット運用は、「卵は一つの籠(かご)に盛るな」(Don’t put all your eggs in one basket=リスク分散投資の意義)の考えを実現していく方法論として考えた投資戦略です。 

 そこで、東証上場ETF(上場投資信託)のうち「手数料0円(売買手数料無料)ETF」のみでカルテット運用(内外株式+内外債券+内外REIT+金)を構築した具体例を図表4に示しました。

 ETFそれぞれの最小投資口数を前提とするため、上述したカルテット運用で示した資産配分比率(ウエイト)とは若干差異があります。また、最適な資産配分比率については、投資家それぞれのリスク許容度、投資期間、ニーズ(選好)に応じて決定されるべきとされます。

 図表4は、「売買コストを抑えつつリスク・リターン特性が異なる内外資産に広く分散投資することが簡単にできる(投資総額は約28万円)」事例を示しています。楽天証券の「手数料0円ETF」に関する詳細情報は下記にてご確認ください。

<図表4>「手数料0円ETF」で作るカルテット運用

(出所)Bloombergをもとに楽天証券経済研究所作成(2020/1/8)

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