「リスク分散効果」を再認識する相場か

 こうしたなか、分散投資の意義が見直されつつあります。図表2の上段グラフが示す通り、2019年初来の資産別リターン(円換算総収益)を振り返ると、株式の変動が高まった際に、債券、金、REIT(不動産投資信託)が堅調だった場面が多くありました。

 最近は「地政学リスクの高まり」を反映して金が上昇しました。外部環境の変化で株式が下落した際、債券やオルタナティブ(金やREIT=伝統的資産と特徴を異にする代替的資産)はポートフォリオ全体のリスク(リターンのブレ)を和らげる効果が期待できます。

 図表2の下段グラフは、「内外の株式、債券、REIT、金への等金額配分投資」を想定したシミュレーションと日本株のパフォーマンスを比較したものです。リターン面で分散投資と日本株は同等となっていますが、分散投資のリスク調整後リターン(変動を加味したリターン)が安定していたことがわかります。債券やオルタナティブのリスク分散効果の「面目躍如」にみえます。中長期の視野で、国際分散投資が運用資産全体のリターンを安定化させる可能性が高いことに注目したいと思います。

<図表2>内外市場の資産別リターンと分散投資効果

(出所)各種の総合収益指数、Bloombergをもとに楽天証券経済研究所作成(2019/1/1~2020/1/8)