自動車株の投資判断

 自動車株は、PER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)・配当利回りなどの指標で、きわめて割安に見えても、積極的な買い手が現れません。先に述べた3つの不安が重しとなっています。自動車株にはリスクが多く、積極的には投資しにくい環境が続きそうです。

 ただし、自動車産業で高い競争力を持ち、ハイブリッド車技術では独壇場、CASE革命(自動車業界のトレンドである4キーワードの頭文字。C[コネクティビティ:接続性]、A[オートノマス:自動運転]、S[シェアード:共有]、E[エレクトリック:電動化])に本格的に取り組むトヨタ自動車(7203)には、積極的に投資していきたいと考えています。

 また、トヨタとともに、ハイブリッド車に積極的に取り組んできたホンダ(7267)にも投資して良いと考えています。ホンダは、四輪車事業の収益率が低下していることが不安材料ですが、アジアでの二輪車販売で高い収益をあげていることが評価できます。

 ただし、それ以外の自動車メーカーには、現時点では積極的には投資できません。日産自動車(7201)は、投資を避けるべきと考えます。長期的には収益回復を見込んでいますが、実現に長い年月を要するでしょう。仏ルノーとの資本関係が、経営の足を引っ張る懸念があります。

 自動車関連株では、ブリヂストン(5108)に注目しています。タイヤで世界トップ、米国で高いブランド力を有するブリヂストンの投資魅力は高いと考えます。自動車株よりも、貿易戦争やEV化のダメージを受けにくく、ディフェンシブとも言えます。

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