【6】吉野家HD(9861)

 吉野家HDは、前期(2019年2月期)の最終利益が上場来初の赤字でした。今期(2020年2月期)の利益回復も鈍く、当面、厳しい業績が続く見込みです。ただし、長期的に利益回復を見込むので、優待投資の対象として、長期投資していく価値があると判断しています。

「優待投資でも、株式投資である以上、業績は見て投資しましょう」と最初に申し上げました。ただし、それは「業績好調の会社だけ買い、業績不振の会社は避けましょう」と言っているわけでは、決してありません。どんな企業も長い年月のうちには、業績が良くなったり悪くなったりします。業績が低迷している時は株価が安くなっているので、もし将来回復が見込まれるならば、安く買う好機かもしれません。吉野屋HDは、中長期的に利益回復を期待するので、投資していって良いと判断しています。

 吉野家HDの前期最終損益は、赤字でした。原材料(米国からの輸入牛肉)価格高騰や、人件費上昇が、逆風でした。ただし、長い目で見ると、利益回復の可能性が高いと考えています。生活に根付いた外食に対する需要は消えることがないからです。効率的なオペレーションでコスト競争力のある吉野家は、メニューの多角化や、海外展開で利益を回復させる余地があると思います。

 新興国でも牛肉の消費が拡大し、輸入牛肉のコストが上昇していることが利益を圧迫しています。それでも、将来、牛肉の輸入コストは低下すると期待できます。日米自由貿易協定がスタートするからです。米国からの輸入牛肉にかかる関税は段階的に引き下げられていきます。現在、米国からの牛肉には、38.5%の高い輸入関税がかけられていますが、2033年には9%まで下がる予定です。米国産牛肉を大量に輸入している吉野家に大きなメリットとなります。

【7】KDDI(9433)

 KDDIは、優待に加え、予想配当利回りが3.3%(12月25日時点)と高いことも魅力です。KDDI株は、携帯電話事業の競争激化懸念で株価の上値が重くなっていますが、業績は好調です。世界景気に影響されずに安定成長を続け、2020年3月期に18期連続の増配を予定しています。ケータイ電話収入は、減少し始めていますが、通信と融合したライフデザイン事業の利益拡大によって、成長を続けています。これからも安定高収益を維持していくと予想しています。

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