【4】ビックカメラ(3048)

 ビックカメラは、家電量販店の勝ち組として成長が続くと期待しています。業績不振の同業ヤマダ電機と明暗が分かれています。

 明暗を分けたのは、2つの経営戦略の違いです。第一に、出店戦略の違いです。ヤマダ電機は、郊外に大量出店したのが裏目に出て、郊外店が不振です。ビックカメラは都市部に大型店を出していったことが成功し、インバウンド需要獲得でも優位です。

 次に、多角化戦略でも差が出ました。ヤマダ電機は多角化で始めた住宅事業が業績の足を引っ張っています。ビックカメラは、家電から、幅広い生活雑貨のプライベートブランドを展開した戦略が成功し、業績拡大が続いています。

 ビックカメラは、前々期(2018年8月期)に営業最高益270億円を上げましたが、前期(2019年8月期)は天候不順や販管費の増加などによって、営業利益は▲15%の229億円となりました。今期(2020年8月期)以降、徐々に利益を回復させていくと考えています。優待狙いで長期投資していく価値はあると考えています。

【5】ANA HD(9202)

 ANA HDは、前期(2019年3月期)に営業利益で最高益を更新しました。ところが、今期(2020年3月期)の営業利益は前期比▲15%と低下します。米中貿易摩擦による景況悪化、日韓関係悪化、香港デモの影響を受けて、国際貨物や国際ビジネス客の需要が伸び悩んでいます。さらに、今後のビジネス拡大に向けた先行費用を計上したことも影響しています。ただし、ANAは観光ブームの恩恵および羽田発着便の増加によって、将来的に最高益を更新していく力があると判断しています。訪日外国人観光客の増加に加え、日本人の海外旅行も増えつつあります。

 同社の業績拡大に効果が大きいのは、羽田発着便の増加です。過去に新たに配分される発着枠の配分を多く受けてきたことが、業績拡大に寄与しています。世界の航空業界を見渡すと、既存の大手航空会社は、LCC(低運賃の航空会社)との競争激化で、軒並み業績が悪化しています。日本の航空会社の業績が好調なのは、海外に比べると、まだ国内ではLCCとの競合が少ないからと言えます。特に、羽田空港では、深夜しかLCCが発着しないので、羽田空港が航空会社のドル箱となっています。

 ANAはこれからも観光ブームの恩恵を受け、長期投資に適格の優待銘柄と判断しています。ただし、将来、羽田空港にLCCが大量に入ってくるようになる場合は、投資判断を変える必要が出ます。羽田空港の発着枠は簡単に増やせないことと、現時点での日本の航空行政を見る限り、そのリスクは低いと考えています。