「実質PBR」で割安企業を見つける

「含み益の大きい企業を買えば儲かる」という程、株式投資は単純ではありません。賃貸不動産の時価自体は、開示情報です。そこに存在する含み益は、各社が公表している有価証券報告書を使えば、誰でも計算することのできる数字です。含み益を織り込んで、株価が既に高くなっていれば、投資魅力が高いとは言えません。

 そこで見るべきは、PBR(株価純資産倍率)という指標です。PBRとは、株価が1株当たり純資産の何倍まで買われているかを示す指標です。資産価値からみて、株価がどの程度割安であるかが分かります。

含み益の大きい各社の10月9日時点の連結PBRと実質PBR

コード 銘柄名 連結PBR (10月9日) 実質PBR (10月9日)
8802 三菱地所 1.61 0.64
8801 三井不動産 1.10 0.62
8830 住友不動産 1.56 0.61
9020 JR東日本 1.28 0.97
9021 JR西日本 1.62 1.31
9005 東急電鉄 1.67 1.27
9301 三菱倉庫 0.78 0.49
9302 三井倉庫HD 0.88 0.32
9303 住友倉庫 0.67 0.56
(出所)各社有価証券報告書(住友不動産のみ決算短信)から楽天証券経済研究所が作成
(注)実質PBRは、実効税率を30%として含み益の70%を自己資本に加えて計算

 ここで、注目していただきたいのは、実質PBRです。解散価値といわれるPBR1倍を下回っている銘柄(赤字部分)は、割安と判断することができます。ただし、ただ含み益を持っていて、株価が資産価値から見て割安というだけでは、積極的に投資する理由とはなりません。足元の業績も見ていく必要があります。