株価下落時でこそ見直したい高ROE市場

 先週号(2月15日)の「日本株だけでいい?米国株にも投資したいなら」で、米国株が中長期で日本株より優勢であった背景をご説明しました。では、前述した「3月危機説」で株価が下落する場面が訪れた場合は、投資機会としてどの市場を検討するのが良いでしょうか。

 図表3は、世界の主要市場のMSCI株価指数(市場平均)をベースに「年初来騰落率」、「予想PER」、「予想PBR(株価純資産倍率)」、「ROE(株主資本利益率)」を比較できるように一覧したものです(※予想値は市場予想平均)。

 ROEの高い順(降順)に並べると、米国を筆頭に「年初来騰落率」の高い順とほぼ合致します。また、ROEが高い市場のPERやPBRが比較的高い傾向も分かります。ROE(株主が拠出した資本に対する利益率)が高い市場や銘柄は投資家に選好されやすい傾向があるからです。

 一般的に、PBR、PER、ROEの関係は、「PBR=PER×ROE」との計算式で示すことができます。ROEが高い市場のPERやPBRは高めに評価されやすい傾向があります。高ROE銘柄の中には負債比率が高い(レバレッジによるテコの原理が大きい)銘柄もありますが、経済成長率が減速傾向にある局面では、金利の低位安定で利払い費用の安定も見込めます。

 PERやPBRの水準面から、ことあるごとに「米国株は割高、日本株は割安」と言われる傾向がありますが、米国株の市場平均ROEが日本株の倍以上である水準に注目したいと思います。今後も株価が急落した後に「見直し買い」が入る局面での買い戻される優先度としては、「世界経済の主役を担い続ける高ROEの米国市場」に分があるかもしれません。

図表3:主要株式市場を予想ROEで比較する(降順)<参考情報>

注:MSCI株価指数ベース、予想値は市場予想平均 出所:Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2019年2月20日)
 

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