楽観は禁物―3月の潜在的リスクイベントの行方を警戒

 図表2は、投資家が警戒心を強めそうな3月のリスクイベントとシナリオ(結果)別に想定される相場見通しを一覧にしたものです。

 米中貿易摩擦に関して市場は交渉期限(3月1日)に向け「解決せずとも緩和に向かう」とのシナリオを織り込みつつあります。もし、期待に反してリスクシナリオが顕在化すれば、前述した政策不確実性が再び上昇する事態が想定され要警戒です。この場合、中国、米国、日本の先行き景況感は一段と悪化。米国株は下落に転じ、為替相場ではリスク回避の円買い・ドル売りが進み、日経平均は下落を余儀なくされる可能性があります。

 一方、トランプ大統領と下院民主党が「非常事態宣言」を巡り対立を深める中、連邦政府として3月1日の債務上限引上げ期限を無策で迎える可能性はあります。大統領と民主党が「チキンレース」を続け、米国債の新規発行が滞ると、一時的にせよデフォルト(債務不履行)懸念が高まる可能性があります。この場合でも、米国市場では株式とドルがいったん売られる可能性があります。

 また、英国は3月29日にEU(欧州連合)から離脱する計画ですが、「合意なき(秩序なき)離脱」に追い込まれると世界市場は影響を受けそうです。多くの企業が製造・サービス拠点を英国から移転することを決めています。

 準備が整わず、英国がEUに「離脱日の延期」を依頼するのか、EUがこれを受け入れるのか、英国が議会解散や総選挙を経て「再度の国民投票」という可能性も浮上しています。欧州では、ドイツ、フランス、イタリアなどで「反EU」運動とポピュリスト勢力(排他的政治勢力)が結びつく傾向があり、政治の混乱が経済的停滞に繋がる事態が憂慮されます。

図表2:3月のリスクイベントとシナリオ別相場見通し<参考情報>

出所:各種情報にもとづき楽天証券経済研究所作成(2月21日)