OPECリーダーたちの減産への意思の低さが、減産継続への温度感の低さを浮き彫りに

 図2を見ると、2018年10月に比べて80万バレル削減した量は、現行の減産期間における最も生産量が少なかった時期とほぼ同等といえます。

図2:OPECの原油生産量

単位:百万バレル、日量
出所:OPECのデータより筆者作成

 また図3を見ると、2018年10月に比べて40万バレル削減した量は、現行の減産期間における生産量の「平均」と同等です。

図3:非OPEC(10カ国)の原油生産量(2次供給を含む)

単位:百万バレル、日量
出所: EIAのデータより筆者作成

 OPEC、非OPECともに現行の減産を上回る減産をする姿勢はみられません(消費については、OPECは米中貿易戦争などの影響で下方修正しています)。

 さらに、図4を見ると、サウジの減産は「駆け込み増産」で急増させた分の3分の1程度の削減であることが分かります。

図4:サウジの原油生産量

単位:百万バレル、日量
出所:OPECのデータより筆者作成

 そして、図5を見るとロシアは、「駆け込み増産」分の半分程度の削減を想定しているようです。

図5:ロシアの原油生産量(2次供給含む)

単位:百万バレル、日量
出所: EIAのデータより筆者作成

 OPECのリーダーであるサウジ、非OPEC10カ国のリーダーであるロシアはともに、駆け込み増産分の全てを削減することはなく、残りの削減分をOPECであればイラクやUAE(アラブ首長国連邦)など、非OPECであればカザフスタンなどに委ねたことになります。