2019年に世界経済は景気後退入りするのか

 逆イールド接近による不安を整理すると、FRBが金利を引き上げるとイールド・カーブがフラット(平坦)化し、金融引き締め効果となり、やがて景気に影響を与え、株式から債券への資金シフトを連想させやすくなります。

 そこで、参考情報として2018年、2019年、2020年の国(地域)別実質GDP(国内総生産)成長率見通しに関する最新エコノミスト見通し(市場予想平均)を図表4にまとめました。

 現時点では、世界の実質成長率は2018年(+3.7%)より減速しても、2019年は+3.6%となる見込みです。この見通しはIMFによる10月時点予想とほぼ同様です。

 国(地域)別で見ると、GDPで世界1位(約25%を占める)の米国の2019年実質成長率は+2.6%となり、2位の中国は+6.2%を維持する見通しです。成長率が減速しても、主要国で景気後退(マイナス成長)は見込まれていません。むしろ、下記の事項などがどの程度織り込まれているかは不明です。

(1)トランプ米大統領が2020年の再選に向け2019年に打ち出すとみられる景気対策(インフラ投資の拡充や中間層向け減税)

(2)中国共産党政府によるトップダウン型景気対策や金融緩和策

(3)安倍政権が消費税対策を目的に検討している景気対策

 特に日本政府は、来年央の参議院選挙や10月の消費税引き上げに向け、老朽化したインフラ整備を中心に公共事業関連費として前年度比最大2割増の7兆円規模を準備中で、来年度の一般会計総額は初の100兆円超となりそうです。こうした景気下支え策が実施されると、市場は「国策に逆らうな」との格言を見直すかもしれません。

図表4:2018年、2019年、2020年の実質成長率見通し

注:2018年、2019年、2020年の実質GDP成長率予想はエコノミスト予想の集計平均(市場予想平均)
出所: Bloombergのデータより楽天証券経済研究所作成(2018年12月4日)
 

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