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「出入国管理法」の一部を改正する法律案が11月27日に衆議院で賛成多数で可決、参議院に送付されました。政府は12月10日会期の今国会での成立を目指します。日本での労働を希望する外国人を対象に、新たな在留資格を創設し、介護や外食業などの特定の労働分野で『外国人労働者』の受け入れを拡大します。内容は未決定の部分も多く、参議院での今後の議論などが注目されます。

 

【ポイント1】『外国人労働者』の在留資格は様々

深刻化している人手不足を緩和するため新たな在留資格を創設

『外国人労働者』の在留資格には、専門的・技術的分野の在留資格、身分に基づく在留資格、技能実習、資格外活動などがあります。今回の改正で中小企業を中心に深刻化している人手不足を緩和するため、新たな在留資格を創設し、介護や外食業などの特定の分野で『外国人労働者』の受け入れの拡大を目指します。

 

【ポイント2】「特定技能1号」と「同2号」を設けるのが改正のポイント 

最大34万人程度を受け入れる見込み

 同法案は一定の技能と日本語力を条件に、新たな在留資格「特定技能1号」と「同2号」を設けるのが改正のポイントです。

「1号」資格は、日常会話レベルの日本語と、活動するために必要な知識や経験を測る試験などに合格すれば取得できます。在留期間の上限は通算5年です。技能実習生からの移行が見込まれています。「1号」資格の保有者は、受け入れ分野で更に高レベルの試験に合格し、熟練した技能があると認められれば、「2号」資格へ移行できます。「2号」資格の保有者は、定期的な審査を受けることにより事実上の永住が可能で、家族の帯同も認められます。

『外国人労働者』の受け入れ上限については、2019年度から5年間の累計で最大34万人程度を受け入れる見込みが国会で示されましたが、正式な決定は法案成立後になる見通しです。

 

【今後の展開】『外国人労働者』増加が生産性の向上に繋がることを期待

『外国人労働者』は2017年10月末で約128万人、就労者数の2%に該当し、今後も増加が予想されます。今回の改正では深刻化している人手不足を緩和する側面が強調されました。2022年には団塊の世代が75歳に達し始めるなど高齢化や人手不足が更に深刻化していきます。『外国人労働者』の増加が生産性の改善による経済や企業の活性化に繋がっていくような法整備などの取り組みが期待されます。