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 インド政府が2月1日に公表した2023/2024年度(2023年4月〜2024年3月)の『予算案』は、歳出総額が2022/2023年度の修正予算比で7.5%増の約45兆ルピー(約72兆円)の大型予算となりました。インフラ投資を中心に資本支出を同37.4%増に拡大、所得税の減税対象を中間層の一部に広げる一方、財政赤字のGDP(国内総生産)比を削減する内容で、財政規律を維持しながら景気支援を行うバランスの取れた計画となりました。

【ポイント1】インドの『予算案』は景気支援型

 インド政府は2月1日、来年度(2023/2024年度)『予算案』を発表しました。歳出総額は、今年度(2022/2023年度)の実績見込み(修正予算)比で7.5%増の45兆ルピーを計上する大型予算となりました。歳出における経常的支出は、補助金の支給見直しを反映し、同1.2%増と伸びが抑えられる一方、公共投資に相当する資本支出は10兆ルピーと、同37.4%増の高い伸びとなっており、景気支援型の『予算案』といえます。歳出項目別では、鉄道の同50.8%増などが目立ちます。

 さらに、『予算案』では、個人所得税の控除枠の上限を引き上げるなど一連の減税措置が盛り込まれています。主に中間層を対象にしたもので、消費拡大策も反映されています。

【ポイント2】財政規律への配慮もみられる

 2023/2024年度『予算案』は景気支援型であるものの、財政規律にも一定の配慮がみられます。財政赤字のGDP比は5.9%と、2022/2023年度の6.4%(当初予算、修正予算)を下回る水準に抑制する計画です。インド政府は2025/2026年度までに財政赤字のGDP比を4.5%未満に抑制するとの中期目標を掲げており、財政規律維持の方向性を打ち出しました。

【今後の展開】2023/2024年度『予算案』は経済成長にとってプラス

 インドの来年度『予算案』は、資本支出の拡大や中間層への所得税減税を通じて経済成長を促進する一方、経常的支出を抑制して財政健全化を進める内容で、バランスの取れた計画となりました。このため、インドのソブリン(国債など)格付けはポジティブに評価される可能性があり、中長期的な経済成長にとってプラスとなることが期待されます。ただし、来年は総選挙が控えているため、補助金の増額など財政規律の緩みには注意が必要と思われます。