米国市場を支える時価総額が高い大手銘柄の株価は底堅い

 こうした中、米国市場では時価総額が高い大手の多くが年初来騰落率で市場平均(S&P500)を上回っている状況に注目したいと思います。

 図表2は、S&P500を構成する銘柄のうち時価総額が高い大手10社とその「年初来騰落率」、「予想PER(*2024年予想EPS(市場予想平均)をベースにした株価収益率)」。「ROE(株主資本利益率)」を示した一覧です。時価総額が大きいほとんどの企業がS&P500の年初来騰落率(+11.3%)を上回っていることが分かります。

 特にテック系大手7社(GAFAM+エヌビディア+テスラ)の年初来騰落率は最近の下げを経ても年初来騰落率は相対的な堅調を維持しています。こうした銘柄群の共通項として生成AI(人工知能)の商用化やビジネス面での活用に積極姿勢を有していることが挙げられます。

 AI向けデータセンターや高速サーバーの利用は今後加速するとみられ、企業によるAI活用が進むことで売上高が成長し、生産性や効率性の向上も期待されています。こうしたテック系大手7社それぞれと顧客側の収益化が進めば、関連した半導体、ハードウエア、ソフトウエアの需要が高まることで2024年や2025年の収益見通しは拡大すると想定できます。

 参考までに、ナスダック100指数ベースのEPS(1株当たり利益)を巡る市場予想平均は2023年で前年比4.7%増益、2024年で同20.8%増益、2025年で同14.7%増益と見込まれています(27日時点)。

 なお、2000年ごろまでの「ITバブル」と異なる点としては、テック系大手企業のROEは総じて高く、「財務の健全性」や「利益の拡大(成長)期待」が挙げられると考えられます。債券市場金利が安定すれば、ナスダック相場の復調が米国株式を再びリードする可能性があると見込んでいます。

<図表2>時価総額大手の年初来騰落率は堅調

*予想PERは2024年予想EPS(市場予想平均)に基づく
(出所) Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2023年9月27日)