年後半に材料の構造的変化が起きる?

 上昇圧力と下落圧力が拮抗した状態はいつ解消するのでしょうか。何らかの変化が生じ、上昇圧力が相対的に大きくなれば、金(ゴールド)価格は上昇、下落圧力が相対的に大きくなれば価格は下落すると、考えられます。

 以下は、これまでに挙げたテーマに加え、筆者が金(ゴールド)相場を分析する上で欠かせないと考えている七つのテーマ(円建ては「ドル/円の変動」を追加」)とそれらの足元の状況と、想定される年末時点での状態です。

図:最近の金(ゴールド)市場を取り巻く七つのテーマ(円建ては「ドル/円の変動」を追加)

出所:筆者作成

 先述のとおり、足元、「有事ムード」、「中央銀行」「見えないリスク」は上昇圧力をかけ、「代替資産」「代替通貨」は下落圧力をかけ、それらが拮抗し、金(ゴールド)相場のさえない状態が続いていると、考えられます。

 しかし、今年の年末にかけて、徐々に上昇圧力の方が下落圧力に比べて大きくなる形で拮抗状態が解消し、金(ゴールド)相場は今よりも高くなる可能性があると、筆者は考えています。このときの状態を上図の右に示しました(筆者想定)。

「有事ムード」と「見えないリスク」起因の上昇圧力は継続、「代替通貨」起因の圧力は下落から上昇に転換、「中央銀行」起因の上昇圧力は大きさを増す、「代替資産」起因の下落圧力が低下する、という内容です。

「代替資産」起因の下落圧力がどの程度低下するかは、どの程度、株価(主に米国の主要株価指数)が上昇するかに左右されます。株価が不安定化した場合、金(ゴールド)は上値を、より、伸ばしやすくなると考えられます。

 次より、年末にかけて上昇圧力を増やす原動力となり得る「代替通貨(下落圧力から上昇圧力に転じる)」と「中央銀行(さらに上昇圧力が増す)」について書きます。