「上がるも下がるも外国人次第」の日本株

 過去30年、日本株を動かしているのは外国人です。外国人が買い越した月は日経平均が上昇、売り越した月は日経平均が下落する傾向が、30年以上続いてきました。

 外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売る傾向があるので、短期的な日経平均の動きはほとんど外国人によって決まります。

 2018~2020年、日本銀行が巨額のETF(上場投資信託)買い付けを始めると、外国人売買の影響力がやや低下しました。外国人が買う時に日経平均が高値を取るのは変わりませんが、外国人が売っていても日経平均があまり下がらない時もありました。日経平均が下がる時、日本銀行の買いが岩盤となって下値を支えていたからです。

 日銀は2021年3月に金融政策を変更し、「年6兆円の日本株ETF」買い付け方針を撤廃しました。4月以降は、日経平均が大きく下がっている時でも、日銀はほとんど買いを出さなくなりました。日銀の買いがなくなって、外国人次第で動く元の日本株市場に戻りました。

 以下をご覧いただくとわかる通り、日経平均が外国人の売買で動いています。

<日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~2021年10月25日(外国人売買動向は10月15日まで)>

注:東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成。外国人の売買動向は、株式現物と日経平均先物の合計

 上のグラフを見れば明らかですが、日経平均はほとんど外国人の売買で動いています。ただ、2020年にはその例外があります。

 2020年3月半ば~4月にかけて、外国人がまだ大量に売り越しているのに、日経平均は急反発しています。主に日本銀行の巨額の買いが、外国人の売りを吸収して日経平均を急反発させています。

 2020年5月以降は、外国人が支配する株式市場に戻っています。2021年に入って、日本銀行の買いがほとんどなくなると、日経平均の細かな上下動まで、ほぼ外国人売買によって決まるようになっています。

 その外国人ですが、日本株の投資判断を迷いに迷っているようです。週単位で、ひんぱんに売り買いが変わっています。それに応じて、日経平均も週単位で急落したり急騰したりを繰り返しています。

 参考まで、2018~2019年の日経平均と外国人売買動向もご覧ください。日銀の買いによって外国人売りの影響が低下しているところはありますが、それをのぞけば、ほぼ外国人によって日経平均の動きが決まっていることがわかります。

<日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2018年1月4日~2019年12月30日>

注:東京証券取引所データより楽天証券経済研究所が作成。外国人の売買動向は、株式現物と日経平均先物の合計