参院補選静岡、自民敗北で31日衆院選に懸念も
25日の日経平均株価は前週末比204円安の2万8,600円でした。中国恒大問題への不安が続いていることに加え、国内政局への懸念も売り材料となりました。
政局への期待で日本株を買い戻した外国人投資家が、政局への不安再燃で日本株をまた少し売った可能性があります。日本株の動きを支配する外国人投資家の売り買いの報告は定まらず、外国人も日本株の投資判断を迷っているようです。
24日投開票の参院補選・静岡選挙区で自民党候補が敗れた(山口補選は自民勝利)ことで、31日に実施される衆院選で自民党が議席を大きく減らす懸念が出たことが影響しました。菅内閣辞任が発表された直後、「自民党が新総裁のもとで支持率を高め衆院選で勝利して政権基盤を強める」期待から外国人投資家が日本株を買い戻しました。
ところが、これまでのところ、その期待は低下しています。31日の衆院選の結果で自民党政権基盤が弱体化する結果になると、外国人投資家は売りに転換する可能性があります。
日経平均は強弱材料がきっこうし、大きくは上にも下にも動きにくくなっています。最大の強材料は、米国の景気・企業業績・株価が強いことです。一方、中国恒大問題・岸田政権のリーダーシップに対する不安が上値を抑える状況が続いています。
「上がるも下がるも外国人次第」の日本株
過去30年、日本株を動かしているのは外国人です。外国人が買い越した月は日経平均が上昇、売り越した月は日経平均が下落する傾向が、30年以上続いてきました。
外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値を叩いて売る傾向があるので、短期的な日経平均の動きはほとんど外国人によって決まります。
2018~2020年、日本銀行が巨額のETF(上場投資信託)買い付けを始めると、外国人売買の影響力がやや低下しました。外国人が買う時に日経平均が高値を取るのは変わりませんが、外国人が売っていても日経平均があまり下がらない時もありました。日経平均が下がる時、日本銀行の買いが岩盤となって下値を支えていたからです。
日銀は2021年3月に金融政策を変更し、「年6兆円の日本株ETF」買い付け方針を撤廃しました。4月以降は、日経平均が大きく下がっている時でも、日銀はほとんど買いを出さなくなりました。日銀の買いがなくなって、外国人次第で動く元の日本株市場に戻りました。
以下をご覧いただくとわかる通り、日経平均が外国人の売買で動いています。
<日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~2021年10月25日(外国人売買動向は10月15日まで)>
上のグラフを見れば明らかですが、日経平均はほとんど外国人の売買で動いています。ただ、2020年にはその例外があります。
2020年3月半ば~4月にかけて、外国人がまだ大量に売り越しているのに、日経平均は急反発しています。主に日本銀行の巨額の買いが、外国人の売りを吸収して日経平均を急反発させています。
2020年5月以降は、外国人が支配する株式市場に戻っています。2021年に入って、日本銀行の買いがほとんどなくなると、日経平均の細かな上下動まで、ほぼ外国人売買によって決まるようになっています。
その外国人ですが、日本株の投資判断を迷いに迷っているようです。週単位で、ひんぱんに売り買いが変わっています。それに応じて、日経平均も週単位で急落したり急騰したりを繰り返しています。
参考まで、2018~2019年の日経平均と外国人売買動向もご覧ください。日銀の買いによって外国人売りの影響が低下しているところはありますが、それをのぞけば、ほぼ外国人によって日経平均の動きが決まっていることがわかります。
<日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2018年1月4日~2019年12月30日>
長期投資で買い場の見方は変わらず、短期では外国人の動きを注視
日本株が長期投資で買い場との見方は変わりません。日経平均は4年以内に4万円まで上昇すると予想しているからです。
その根拠については、10月30日(土)に楽天証券が実施するネットセミナー「株式投資アカデミー」でお話しします。私の講演は12時20分~13時30分です。ぜひご視聴ください。
ただし、短期的な下値不安はまだ払しょくできません。短期的には、外国人の売買動向を注視して、外国人の動きに逆らわずに売買していくことが大切です。
外国人の売り買いの方向が定まらない状況が続いていますが、売りか買いどちらかで大きく動いてくるタイミングが近づいていると思います。
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