中国の情勢にも注意が必要

 ポイントになるのは、日米の決算動向が相場全体に方向感を与えるかどうかです。個別物色による「ゲリラ戦」にとどまり、上げ下げは激しいが方向感に欠けるという展開も考えられます。

 最高値圏で推移している米国株市場も、これからいわゆるハイパーグロース株や製造業の決算が相次ぎますので、インフレ懸念やサプライチェーン(供給網)の混乱などの影響によって、業績見通しの下方修正が増えてくれば、大きく調整する可能性もあります。

 国内情勢についても、週末31日(日)に控えた総選挙を前に動きづらくなることも想定されます。

 さらに、日本企業は中国との関わりが比較的深いとされることもあり、中国の情勢にも注意を払う必要があります。

 先週の中国では、7-9月期GDP(国内総生産)をはじめとする主要な経済指標が公表され、軒並み減速傾向となりましたが、株式市場への影響は限定的でした。

「ある程度の減速は想定内」という反応と思われますが、先日発表された生産者物価が統計開始以来の高い伸びとなっており、景気減速と物価上昇が同時に起こる「スタグフレーション」っぽい様相のため、この傾向が続いてしまうことには注意が必要です。

 さらに、中国恒大集団の債務問題については、9月23日に支払われなかったドル建て債務の利払いが、デフォルト認定のギリギリの期限(30日間)のタイミングで先週行われた模様で、株式市場にひとときの安心感をもたらしましたが、今後も下の図5のように、利払いスケジュールが立て込んでいるため、油断ができない状況が続きます。

■(図5)中国恒大集団のドル建て債務の利払いスケジュール

出所:リフィニティブ、各種報道を元に作成

 企業業績を背景にした株価上昇が期待できる一方、不安要素が多い状況下では上昇の賞味期限が短くなってしまうことも考えられます。そのため、今週の日本株が強い動きになったとしても、突然の下落転換には警戒しておいた方が良いかもしれません。