グロース株相場とバリュー株相場は循環する
日本株投資歴が10年くらいの方は、グロース優位の相場しか知らないかもしれません。投資歴30~40年の方はよくご存じかと思いますが、実は、日本株市場では長年にわたりバリュー優位が続いてきました。以下の表とグラフをご覧ください。
ラッセル野村バリュー指数とグロース指数の騰落率格差:1985~2020年
上記グラフは、バリュー指数の騰落率から、グロース指数の騰落率を差し引いて作っています。数値がマイナスの年は、グロース優位(グロースがバリューよりも良かった年)です。数値がプラスの年は、バリュー優位(バリューがグロースよりも良かった年)です。
ご覧いただくとわかる通り、直近10年(2010~2020年)はグロース優位が続いています。2020年にかけて、グロース優位が加速してきています。ただし、それより前を見ると、ITバブル相場と言われた1999年を除くと、バリュー優位の年が続いていることがわかります。
簡単に過去の流れを説明します。
【1】1983:極端なグロース株相場
上のグラフには出ていませんが、1983年に極端なグロース株相場がありました。1970年代のオイルショックをいち早く克服した日本が、半導体などのハイテク産業で米国を抜いて、世界トップにたった年でした。
当時グロース株であった「ハイテク株(ソニー、パイオニア、日本電気など)」だけが大きく上昇し、それ以外のバリュー株がまったく上がらなかった年でした。かつて花形産業だった鉄鋼・化学・海運・造船などの重厚長大産業は軒並み構造不況に陥っていて、株価が上がりませんでした。
これからはハイテク株の時代と言われ、ハイテク・グロース株以外は買っても仕方ないと言われました。
【2】1986~1989年:バリュー株相場
1985年プラザ合意から、急激な円高が進み、ハイテク輸出株の業績が急激に悪化しました。1987年にかけて「円高不況」という不況が起こり、さらに日米貿易摩擦が厳しくなって、ハイテク輸出株に逆風となりました。
ところが、1988年以降、日本は内需主導で空前の好況を謳歌します。いわゆる「バブル景気」と言われるものです。
グロース株(ハイテク株)の株価がさえない中、不動産・建設・鉄鋼・化学・海運・造船などのバリュー株が大復活し、株価が上昇しました。結果的に、バリュー株相場となりました。