長期的には、穀物は石油製品や肉の代替手段として存在感を示す可能性がある
以下は、穀物の主な用途です。
図:穀物の主な用途
一口に穀物といっても、その用途は多岐にわたります。大まかには、“飼料用”、“食用”、“何かの代替”、の3つに分けることができます。魚粉などを配合して家畜のエサにしたり(飼料用)、サラダ油、マヨネーズ、マーガリンなどの原材料、小麦の場合は挽いてパンや麺の原材料にしたり(食用)、石油製品や肉の代替品にしたりします(何かの代替)。
足元、脱炭素が叫ばれる中、この中で最も注目されるのが、“何かの代替”つまり、バイオ燃料やバイオプラスチック(石油製品)、人工肉(家畜の肉)の用途です。これらの用途は、脱炭素、環境配慮が国際社会の重要事項になっているため、ますます、注目が集まる可能性があります。
石油由来のガソリンや軽油の消費の一部を穀物由来のバイオ燃料で代替したり、石油由来のプラスチックの一部を穀物由来のバイオプラスチックで代替したりすることで、全体的に、二酸化炭素(CO2)の排出量を低減することができます。
また、家畜由来の肉を穀物由来の肉で代替することで、牛の消化器官の反すう運動(げっぷ)や、家畜の排せつ物から発生する、温室効果ガスの一つであるメタンの排出量を低減することができます。
脱炭素は、数十年単位の世界規模のプロジェクトと言えます。この大掛かりなプロジェクトが進行する中で、穀物は重要な役割を果たす可能性があります。人間の胃袋を満たすだけでなく、人間が生活する地球を守る手助けをする可能性があるわけです。
目先は、主要輸出国の供給障害、中国のトウモロコシの輸入増加、異常気象や新型コロナの感染拡大による混乱などが、長期的には、脱炭素、環境配慮起因の需要拡大が、各穀物の価格を下支えする可能性があると、筆者は考えています。
[参考]穀物関連の具体的な投資商品
国内株
海外ETF
iPath シリーズB ブルームバーグ穀物サブ指数
トータルリターンETN(JJG)
外国株
商品先物
海外 トウモロコシ 大豆 小麦 大豆粕 大豆油 もみ米