中国の米国産トウモロコシ輸入量が統計史上最高に。あの中国が輸入を開始した

 昨年12月以降に目立ち始めた上昇要因の一つに挙げた、“中国の米国産トウモロコシの輸入が統計史上最高になった”ことについてです。以下はそれに関連する、中国のトウモロコシ輸入量の推移です。

図:中国のトウモロコシ輸入量 単位:千トン

出所:USDA(米国農務省)のデータより筆者作成

 これまで中国は、天候不順などが発生した場合を除き、おおむね、トウモロコシを自給自足してきたとみられます。トウモロコシは主に家畜のエサに用いられます。増加する自国の食用肉や家畜由来の製品(卵、牛乳やバターなど)の需要に対応すべく、そのエサとなるトウモロコシを、自国で生産をしてまかなってきました。

 しかし近年は、上図のとおり、中国のトウモロコシ輸入量は増加傾向にあります。2019年度(穀物年度)は、過去60年で最も輸入量が多くなりました。そして、2020年度は記録的な水準まで増加することが見込まれています。2020年度の一部は、下図のとおり、米国からの輸入によってまかなわれると、考えられます。

図:米国産トウモロコシの中国向け輸出量 単位:千トン

出所:USDA(米国農務省)のデータより筆者作成

 主要輸出国で供給障害を引き起こす要因が複数、発生していること、それらがすぐに解消しない可能性があること、また、これまでおおむねトウモロコシを自給自足してきた中国が、米国などから輸入しはじめたこと、異常気象(ラニーニャ現象)や病気(新型コロナ)まん延によって、市場が例年と異なる状態にあることなど、複数の材料が重なり、現在の穀物高が発生していると、筆者は考えています。

 また、トウモロコシだけ、大豆だけ、小麦だけなど、どれか1銘柄だけではなく、3銘柄いずれにも上昇要因が存在する点は、“穀物全体”を物色する要因となり、3銘柄の足並みをそろえた上昇に、拍車をかけていると考えられます。