4月相場は下げ相場の第二ラウンドで、二番底を模索するのか?

 3月31日の記者会見でトランプ大統領は、「少なくとも6月にかかる時期まで感染による多数の死者が出る恐れがあり、累計の死者数は最悪24万人に上る可能性がある」と、これまでの楽観的なトーンを捨て去った。

 シンガポール在住の著名投資家ジム・ロジャースは、「今後数年は、私の人生で最悪の弱気相場になると予想する」、「弱気相場では負債が少ない企業が最も好まれる銘柄であることは歴史を通して疑問の余地がない。経営破綻を心配しなくて済むからだ」と述べた。

 ポール・チューダー・ジョーンズは、「4月に入ると状況は変化してマーケットは試練を迎える。新型コロナウイルスの感染者数がまだ増えるからで、これを嫌気して、市場は売りに転じるだろう。安値更新の可能性もある」とCNBCで述べた。しかし、チューダーは比較的強気で、「新型コロナウイルスの感染者の推移がピークを打てば、株式市場は底を打って間違いなく上昇すると思う。3~5カ月後は今と比べ下落よりも上昇の可能性が大きい」と予想している。

新型コロナウイルスの感染者の推移

 債券王と呼ばれるジェフリー・ガンドラックは「米株式相場は3月の安値を割り込む公算が高い」と述べている。

 著名債券運用者ジェフリー・ガンドラック氏は、経済の先行き不透明感が投資家の不安をさらに募らせる中で、4月のS&P500種株価指数は3月の安値をさらにしのぐ下げとなる可能性が高く、恐らく長期にわたり直近の高値を回復できないとの見方を明らかにした。

 米ダブルライン・キャピタルの最高投資責任者(CIO)を務めるガンドラック氏は3月31日のウェブ放送で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴う市場や経済への影響について、「4月もあのパニックのような感じに似た状態になると思う」と語った。

 S&P500種株価指数は3月に12.5%下落し、月間ベースで2008年10月以降で最悪のパフォーマンスとなり、史上最長の強気相場は終了した。

 ガンドラック氏によると、10年以上前に付けた高値を回復していない日本や欧州、新興国・地域市場の株価と同様の展開を米国もたどる公算が大きい。

 また、米経済が最終的により強い状態になるには時間と犠牲が必要になると述べ、米経済が次に来るリセッション(景気後退)から急回復するとみる主要銀行の予測はあまりに楽観的だと指摘した。

 さらに、失業率が10%に上昇する一方、米国の経済・金融刺激策は10兆ドル(約1,074兆円)規模に恐らく達し、米国の債務が急拡大する中でドルは下落する可能性が高いとの見通しを示した。

(ブルームバーグ 2020年4月1日「ガンドラック氏、米株式相場は3月の安値を割り込む公算」)

米国の債務は歴史的な類似点のない危機的状況

出所:ゼロヘッジ

証拠金債務(レバレッジ)、株式、ジャンク債の関係

 過去10年間におよぶその「刺激」は中央銀行による介入であった。その間、市場における「恐怖」の完全な欠如と「利回りの追求」が相まって、レバレッジとともに「リスク」資産が記録的なレベルとなった。

出所:ゼロヘッジ

 これまでFRBは金利を引き下げ、「市場を支える」政策をおこなってきた。しかし、これらの行動は意図しない結果をもたらし、金融市場で「ブームと破裂」が繰り返し起こる現象につながった。これまでの10年で積みあがった過剰流動性が作り上げたモンスターバブルが、この程度の小さな修正でリセットされることはないだろう。