加入・拠出・投資、三つセットで背中を押す取り組み

 人はどうしても、三つの「非合理的」な資産形成判断をしがちです。

 非合理的行動、まずは「早く加入しない」ことです。

 これをつぶすため、入社したら原則加入で、年金加入は当たり前という仕組みに切り替えをしました。これは「自分で決心したら年金加入手続きをする」ことより、強制力があります。

 二つ目の非合理的行動は「拠出する割合は低くする」ことです。

 入社1年目3%以上、2年目4%以上、3年目5%以上、4年目6%以上(10%以下)という積み立て割合を定めて、自動的にその割合を増やします。一度始めた後、年収増に応じて自分で積立金額を増額するのは面倒な上、回避しがちですが、「率」かつ「率の引き上げ」により積み立てペースはむしろ速まることになります。

 最後の非合理的行動は「投資」です。

 米国の401(k)プランでは運用指図をしない場合、原則として投資をするよう自動的に商品選択されます。ターゲットデートファンド(資産構成割合は年齢に応じて変動)かバランス型ファンド(資産構成割合は固定)を選ぶことになります。「投資のことが分かるようになってから」という判断先送りをさせないことで、結果として長期的に高いリターンを獲得させる選択肢に導きます。

 もちろんこの間の株価上昇が寄与したことはいうまでもありません。しかしこの三つの取り組みが実を結びつつあるのが、まさにミレニアル世代であっても1,000万円超の資産形成を実現できる理由ではないかと思います。