米国のファンドマネジャーはワシントン情勢を警戒

 とは言っても、米国のファンドマネジャーは2020年を視野に入れた株式市場の先行きに慎重な姿勢もみせています。その主要因は、「ワシントン情勢」(米国の政治動向)にあると言われています。

 10月26日付け米バロンズ紙(米・金融証券紙)が半期ごとに実施している最新調査(ファンドマネジャー134人が回答した調査「The Big Money Poll」の分析)は、「Why Wall Street is Scared of Washington」(ウォール街はなぜワシントン情勢を怖がっているのか)と題し、投資の専門家が大統領選挙(2020年11月3日)に向け警戒感を強めている状況を指摘し注目されました。

 同調査によると、ファンドマネジャーの約42%が「トランプ大統領の再選」を選好。2番目は民主党のバイデン元副大統領(25%)、3番目は民主党のブーテジェッジ候補(8%)としています。

 ところが、多くのファンドマネジャー(64%)が民主党はウォーレン上院議員を大統領候補者として公認・指名すると予想。バイデン候補(31%)の公認指名予想確率の約2倍となっています。

 図表3は、民間調査会社(PredictIt)が算出している「共和党候補と民主党候補の大統領当選確率(Implied Probability)」の推移を示しています。本調査によると、民主党候補の当選確率が共和党候補(現時点ではトランプ大統領続投の可能性)よりも優勢に推移していることがわかります。

図表3:大統領選挙を巡る予想確率の推移

(出所)PredictItのデータをもとに楽天証券経済研究所作成(2019/11/6)

 上記のバロンズ紙調査によれば、「大統領当選者別の市場への影響度」について、「株式市場が好感する(Positively)」との回答はトランプ大統領(84%)が最大で、バイデン元副大統領(64%)が続き、ウォーレン上院議員(1%)と予想する一方、「嫌気する(Negatively)」との回答はウォーレン候補が99%、バイデン候補が36%、トランプ大統領が16%となっています。そして、「市場(投資家の多く)が最も低く見積もっているリスク」として「民主党の大統領選挙勝利(50%)」を挙げて警戒しています。