海外コンビニの成長が魅力のセブン&アイ、総合スーパーの構造改革は出遅れ

 セブン&アイHD(3382)傘下のイトーヨーカ堂も、同様の構造改革に着手しています。「セブンパークアリオ柏」などを見ると、イオンと同じく専門店を取り込んで、強い総合小売業の復活を感じさせるところがあります。ただし、イオンに比べると、総合スーパー強化の取り組みは、出遅れの感があります。

 セブン&アイHDは、海外のコンビニ事業の成長が加速していることが、投資魅力につながっています。ただし、グループ内の総合小売業(イトーヨーカ堂とそごう西武)建て直しは、道半ばです。

コンビニとの戦いは続く

 総合スーパーにはまだ天敵がいます。セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートなどのコンビニです。コンビニの販売のおおむね8割以上は食料品と飲料です。ここは大手スーパーが自前で収益を稼げる部門として、最後まで残してきたところです。

 過去10年で、コンビニは大手スーパーの顧客にどんどん食い込んできました。10年以上前、コンビニの顧客の中心は若年層で、品ぞろえも若年層が外で食べる手軽な食べ物が中心でした。この時は、大手スーパーと直接競合することはありませんでした。

 ところが、コンビニはその後、顧客ターゲットを変えてきています。家庭食をターゲットとして、40~50代の女性顧客を増やすことに成功してきました。家庭食がターゲットとなったことで、コンビニは大手スーパーとモロにバッティングするようになりました。コンビニは次々と魅力的な総菜や食材を開発し、大手スーパーの客を奪っていきました。

 イオンは、コンビニを撃退するビジネスモデルも徐々に作りつつあると考えられます。小型スーパーやドラッグ・ファーマシーです。まだセブンイレブンを凌駕するビジネスになったとは言えませんが、コンビニよりも面積が広く品ぞろえが異なるドラッグストアや、小型の食品スーパーの一部は、コンビニよりも高い競争力を持ち始めています。

 コンビニとの競争では、依然としてコンビニのほうが優位ですが、一方的にやられるだけでなく、いい勝負を挑める体制を少しずつ作りつつあるといえます。

イオングループ各社の投資魅力は、いずれも高いと判断

 イオンは、中核事業を担う子会社を多数上場させています。典型的な、親子上場企業です。イオンの成長を担う上場子会社は、いずれも、投資価値が高いと判断しています。

(1)イオンフィナンシャルサービス(8570)

 イオングループの金融事業を担う。今期(2020年3月期)の経常利益(会社予想)は、前期比▲0.2%の700億円。前期まで8期連続で経常最高益を更新してきたが、最高益とほぼ同水準の利益が続く見込み。予想配当利回りが23日時点で4.1%と高いことも魅力。配当利回りは、年間1株当たり配当金(会社予想)68円を、23日の株価1,662円で割って算出。

(2)イオンモール(8905)

 イオングループのデベロッパー(不動産)事業を担う。今期(2020年2月期)の経常利益(会社予想)は、前期比3%増の540億円と、10期連続で最高益を更新する見込み。予想配当利回りは23日時点で2.3%。

(3)ウエルシアHD(3141)

 イオングループのドラッグ・ファーマシー事業の中核を担う。今期(2020年2月期)の経常利益(会社予想)は、前期比13%増の356億円と、22期連続で最高益を更新する見込み。予想配当利回りは23日時点で0.7%。

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