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「現在の相場は<需給要因>で円高になっている」
石原 順
外為市場アウトルック
リーマンショックの影響による景気回復に向けた歳出の増大が、世界中で財政赤字の拡大を招いた。政治家は財政再建をしなければならず、その結果、景気対策は中央銀行に押し付けられることにな…

「現在の相場は<需給要因>で円高になっている」

2017/1/12
2016年12月15日の 「強気相場だが12月は利食いの月か?」に始まって、12月29日の「円相場は調整局面入り、年明け後の米国株式相場は下落を回避できるか?」というレポートまで、筆者は「12月はいったん利食いの月である」と述べ、ラジオ等では「クリスマスまでにいったん利食いを!」と申し上げてきた。
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ドル/円はドル買いトレンドがピークアウトして調整相場に

2016年12月15日の 「強気相場だが12月は利食いの月か?」に始まって、12月29日の「円相場は調整局面入り、年明け後の米国株式相場は下落を回避できるか?」というレポートまで、筆者は「12月はいったん利食いの月である」と述べ、ラジオ等では「クリスマスまでにいったん利食いを!」と申し上げてきた。

「2017年の1月はトランプ相場が期待から現実に変わる月である。特にドル/円は3年連続で1月に急落(円高転換)しているので警戒は怠れない。1月の相場反転には注意したい」と述べてきたが、やはり、1月は円高になった。ドル/円は1月11日に114円23銭まで下落している。

ドル/円(月足)と1月の相場転換
円安転換=青・円高転換=赤 3年連続円高に転換

(出所:石原順)

ドル/円(日足)の200日エンベロープのカイリ率をみても、ドル/円(月足)のフィボナッチファンラインをみても、「目先は年末相場でいいところまでやったな・・」というのが現在のドル/円相場なのである。

ドル/円(日足) 200日エンベロープ±10%(青)・±15%(赤)

(出所:石原順)

ちなみに、ドル/円(月足)のフィボナッチのファンラインは相場の上げ下げの反転ポイントを明確にとらえてくれているが、これは相場の科学というよりは芸術である。芸術であるがトレンドラインと同様に相場の実践的アプローチとして使えるので、このラインの引き方は、今後、セミナー等で機会があれば紹介したいと思っている。

ドル/円(月足)とフィボナッチのファンライン

(出所:石原順)

トランプの記者会見は肩すかし?むしろ、現在の円高は需給要因であろう

トランプ次期大統領は昨日、昨年 11 月の大統領選の勝利演説以降という久しぶりの記者会見を行った。市場には財政出動・減税・規制緩和といった景気刺激策への言及期待があったようだが、肩すかしに終わったようだ。欧州時間にトランプ期待でドルを買ったイベントドリブンファンドが、NY時間に投げたというのが、昨日の乱高下相場の実態である。1月 20 日に行われるトランプ大統領就任式後の就任演説も同じようなパターンになるかもしれない。

トランプが多少経済政策に言及したところで、具体的な材料でなければ、それらはもう織り込み済みの材料なのである。なぜなら、米長期金利は新債券の帝王ジェフリー・ガンドラックの予測通り、調整に入っているのである。

米10年国債金利(日足) グレートローテーションも調整相場
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

12月22日のレポート「ラリー・ウィリアムズの米国株とドル/円予測」で、ラリー・ウィリアムズの円高予測を紹介したが、彼は1月4日の【ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)】でも、「日本円通貨先物は珍しい状況になっています。黒線の取組高がかなり高く上げてきていますが、日本円は大きく下げてきています。一貫性なく、日本円通貨先物の取組高と価格の動きが不規則になっています。しかし、この状況に惑わされてはいけません。COT レポートの緑線の一般投資家がかなり売り込んでいます。以前もこのように状況が確認されています。一般投資家が大量のポジションを抱えていて、ポジションを抱えたまま吹き飛ばされるとマーケットが転換します」と述べ、円高転換を示唆していた。

シカゴIMM日本円通貨先物(日足)

(出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)1月4日・著作権の関係で画像の一部を隠しています。)

シカゴIMM 投機筋(ノンコマーシャル)の円のポジション (1月3日現在 CFTC発表) 円の売りポジションが溜まっている・・

(出所:石原順)

現在の円高にあれこれ後講釈がされているが、特段のドル売り材料が出ているわけではない。現在の相場は<需給要因>で円高になっているのである。

変動幅に注意したい現在の調整局面

トレンドの有無を判定するという相場認識のテクニカル・ツール(道具)で最も優れているのは、「標準偏差ボラティリティ」と「ADX」という指標である。現在のドル/円の日足相場を観察すると、「標準偏差ボラティリティ」と「ADX」が両方下落基調にあり、円高トレンドが出ているわけではない。

「標準偏差ボラティリティ」や「ADX」がピークアウト(天井をつけ下落)すると、トレンド期とはやや逆方向にバイアスがかかった「横這いレンジ内での乱高下相場」となりやすいが、今のドル/円はそうした調整相場に入っていると思われる。

注意しなければならないのは、調整相場と言っても、その前の買いトレンド相場で101円20銭から118円59銭まで17円39銭も上げた相場なので調整幅が大きくなる可能性があることである。

ドル/円(日足) 調整相場
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±1シグマ(緑)

(出所:石原順)

今、投機筋が注目しているのは、ドル/円が調整過程や1月月足の終値(NYクローズ)で20か月移動平均線を維持できるかどうかである。仮に20か月移動平均線を割り込むような相場になると、シカゴ1MMの円のポジションが円売りに傾いているため、思わぬ急落にも注意が必要となろう。

ドル/円(月足) 20か月移動平均線と相場の転換

(出所:石原順)

ドル/円の調整が大きくなるか軽微で済むかは、米国株の行方次第だろう。米国株がそんなに下げないのであれば、大きな調整は回避できるだろう。現在のドル安は短期的な動きで、長くとも2月いっぱいくらいで終了すると思っている。おそらく今年のドル/円相場は、年前半は堅調に推移するのではないだろうか?しかし、年後半の円高反転には注意が必要かもしれない。

NYダウ(日足) 調整相場
上段:14日修正平均ADX(赤)・26日標準偏差ボラティリティ(青)
下段:21日ボリンジャーバンド±0.6シグマ(緑)

(出所:石原順)

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日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』を参照されたい。

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