米経済の強さを生む四つの要因

 21世紀に入り、米景気がリセッション入りしたのは3回しかありません(出所:NBER)。

【1】ITバブル崩壊不況:2001年3月(景気の山)-11月(谷)、景気後退期間は8カ月 

【2】リーマン・ショック:2007年12月(山)-2009年6月(谷)、後退期間は1年6カ月

【3】コロナショック:2020年2月(山)-4月(谷)、後退期間は2カ月

 21世紀に入ってから、米景気はリセッションが短く、景気拡大期がとても長くなっています。

米GDP成長率(四半期別、前期比年率):2000年第1四半期(1-3月)~2023年第4四半期(10-12月)

出所:Bloombergより楽天証券経済研究所が作成

 米景気の強さの背景として、四つあります。

【1】移民パワー:移民は当初、低賃金の労働力を供給。貯蓄ができてくると消費の有効需要拡大に寄与。

【2】AI革命:インターネットビジネスのインフラを米国の大手ハイテクが支配。ネット・AI(人工知能)の拡大で恩恵を受ける。

【3】シェール革命:かつて世界最大の原油輸入国であった米国は、世界最大の産油国に転換

【4】資本主義・民主主義国:近年陰りが見えているが、それでも、覇権主義国家が増えている世界にあって、株式会社が栄えるための資本主義・民主主義の基盤がもっとも整備されているのが米国であることに変わりない。

 米景気が予想外に堅調である背景として、上記四つの要因が効いている可能性はあります。

米利下げ景気堅調で遠のく

 米景気が堅調であると、米利下げが遠のきます。早期の米利下げ期待が一時広がっていましたが、その期待は低下しつつあります。米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)が今週30~31日に、FOMC(連邦公開市場委員会)を開催しますが、ハト派転換する期待は低下しています。

 米景気が堅調であることは、世界の株式にプラスである一方、米金利が高止まりすることは、株式にとってマイナスに働きます。

日本株「押し目買い」方針変わらず

 日本株の投資判断は、いつも述べていることと変わりません。日本株は割安で長期的に良い買い場(押し目)と判断しています。これからも急落急騰を繰り返しながら上昇していくと考えられるため、時間分散しながら投資していくのが良いと思います。

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