分断起因の減産が原油相場を支える

 民主主義の行き詰まり傾向を説明するために、2008年リーマンショックまでさかのぼります。同ショックにより、堅牢といわれた西側の金融神話が崩壊しました。

図:リーマンショックを起点とした西側・非西側間の分断とコモディティ相場への影響

出所:筆者作成

 また、同ショック後の経済回復のため、西側諸国は「環境問題」や「人権問題」を解決することを目指し始めました。西側の金融神話崩壊や、西側主体の問題提起・解決策実施は非西側の反発を買い、非西側の「脱西側」の動きを加速させました。

 2010年ごろから西側と非西側の分断が深まり始まったことは、先述の南半球のバッテリー資源国の自由民主主義指数が頭打ちになり、下落に転じたことと合致します。また、西側と非西側の足並みが乱れたことは西側の同指数を頭打ち・下落に転じさせる一因となり、これらが同時進行したことにより、世界全体の民主主義が行き詰まり始めたと考えられます。

 民主主義の行き詰まりによって、西側・非西側の分断はさらに深まり、その延長線上でウクライナ戦争やイスラエル・ハマスの戦争が勃発したと、筆者は見ています。イスラム武装組織の活動活発化や、EVバッテリー資源国の出し渋りのリスク増大に、民主主義の行き詰まりや分断が関わっていると考えられます。

 さらに言えば、OPEC(石油輸出国機構)プラスの原油の減産継続もまた、民主主義の行き詰まりに端を発した、西側・非西側の分断深化が一因であると、考えられます。

図:NY原油先物(日足 終値) 単位:ドル/バレル

出所:Investing.comのデータより筆者作成

 OPECプラスの減産は、単に原油価格を高止まりさせるために行われているのではないと考えられます。リーマンショック後から続く「分断」、環境問題と称して石油を否定する西側への反発という心情的な動機も含まれていると考えるべきであると、筆者は見ています。減産は非常に強い動機に支持されて行われている。こう考えると、原油価格が下がらない理由が見えてきます。

[参考]エネルギー関連の投資商品例

国内株式(新NISA成長投資枠活用可)

INPEX
出光興産

国内ETF・ETN(新NISA成長投資枠活用可)

NNドバイ原油先物ブル
NF原油インデックス連動型上場
WTI原油価格連動型上場投信
NNドバイ原油先物ベア

外国株式(新NISA成長投資枠活用可)

エクソン・モービル
シェブロン
オクシデンタル・ペトロリアム

海外ETF(新NISA成長投資枠活用可)

iシェアーズ グローバル・エネルギー ETF
エネルギー・セレクト・セクター SPDR ファンド
グローバルX MLP
グローバルX URANIUM
ヴァンエック・ウラン原子力エネルギーETF

投資信託(新NISA成長投資枠活用可)

HSBC 世界資源エネルギー オープン
シェール関連株オープン

海外先物

WTI原油(ミニあり)

CFD

WTI原油・ブレント原油・天然ガス