円安になると日本株が買われる理由

 1月に入り、円安が進んだことが、外国人買い急増の直接のきっかけとなりました。

 円安は、「日本の企業業績にとってプラス要因」なので日本株が上がりやすくなります。ただし、それだけではありません。日本株の動きを支配している外国人投資家が、「円安になると日本株を買いたくなる」ことが、日本株が上がる最も直接的な理由です。

日経平均・ドル建て日経平均とナスダックの動き比較:2021年末~2024年1月19日

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成、2021年末の値を100として指数化

 外国人投資家は、ドルを円に転換して、日本株に投資します。したがって、日本株(円建て)が下落するまたは円安(対米ドル)が進むと、外国人投資家にとってのリターンは下がります。

 逆に、日本株(円建て)が値上がりする、または円高が進むと、外国人投資家にとってのリターンが高まります。つまり、日経平均に投資した外国人のリターンは、「ドル建て日経平均」の動きに表れているわけです。

 上のグラフを見ていただくと、円安(ドル高)が進んだ2022年にかけて、日経平均はほとんど横ばいなのに、ドル建て日経平均は大きく値下がりしています。日経平均に投資している外国人は、円安によって投資価値が目減りしていったわけです。

 外国人投資家にとって、円安が進む時は、次の二つのことが同時に起こるので、円安では外国人は日本株を買いやすくなります。

【1】 ドル建て日経平均が値下がり(日本株を安く買えるようになる)
【2】 日本株の業績が円安で改善する期待が出る

円高リスクに要注意

 昨年12月も、米景気ソフトランディングの期待が高まりつつありましたが、急激な円高が進んだことが、日経平均の上値を押さえました。今年1月に入り、米景気ソフトランディング期待がさらに高まる中で円安が進んだことが、外国人の日本株積極買いにつながりました。

 今後の展開として、為替の動向には注意が必要です。これから、米利下げが視野に入ってくる中で、日本では日本銀行がマイナス金利の解除に動く可能性もあります。そうなると、また円高に反転する可能性もあります。円高に反転すると、日本株が外国人投資家に売られやすくなります。

 日本株の投資判断は変わりません。日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいと判断しています。ただし、一本調子の上昇は見込めません。短期的には、円高などで下落する局面もあると思います。時間分散しながら割安な日本株を買い増ししていくことが、長期的な資産形成に寄与すると考えています。

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