足元、材料の頂点は「米国の金融政策」

 足元、国内外の金(ゴールド)相場が、歴史的な高値水準で推移しています。グラフ内の丸印(上昇1)のとおり、NYの金先物は2,000ドル/トロイオンス前後、大阪の金先物は9,000円/グラム前後で推移しています。大阪の金先物は8月1日付の取引時間中、初めて9,000円の大台を超えました。

図:金(ゴールド)長期価格推移(1975年1月から2023年8月)

出所:ブルームバーグなどのデータをもとに筆者作成

 直近1カ月間の主要銘柄の騰落を確認すると、株(米国主要株価指数)高、ドル(ドル指数)安、原油高、そして金(ゴールド)高でした(コモディティ銘柄はともにドル建て)。この騰落状況を、変動要因を加味して絵にすると以下のようになります。

図:最近の市場の全体像(株・為替・コモディティなど全般)

出所:筆者作成

 最近の材料の頂点(もっとも川上)は、「米国の金融政策」だと考えられます。利上げの温度感が低下する気配が出始めたことをきっかけに、市場が楽観的な将来像を描く→景気回復期待強まる→株高と原油高という流れが、同時に、ドルの先安観が醸成→ドル安・金(ドル建て)高という流れが生じました。

 まだまだ利上げが続く、という見方は残っているものの、主要銘柄の値動きをもとに考えれば、市場全体に楽観的なムードが充満していると言えるでしょう。米国債の格下げという悲観的なニュースが出た直後、乱高下する場面がありましたが、程なくして、株高・ドル安・原油高・金(ゴールド)高が再開しました。