2023年末の日経平均予想を3万2,000円へ引き上げる理由

 2022年末に出した「2023年末の日経平均予想」は、3万1,000円でした。2023年に減速する世界景気が2024年に回復に向かうという見通しの元、2023年の日経平均は前半低迷、後半に上昇トレンドに入り、年末に3万1,000円をつけるという予想でした。

 日経平均は、5月19日に一時3万924円をつけています。私の年末の予想水準を、5月時点でほぼ達成したことになります。

 2024年にかけて世界景気が回復するという見通しは変わりません。回復の織り込みが前倒しで起こっていると考えています。外国人投資家は、リオープン(経済再開)があって景況が相対的に良好な日本株から先に買い始めています。

2022年末に出した2023年の日経平均予想:日経平均の実際の動きは2019年末~2023年5月19日まで

出所:QUICKより作成、2023~2024年の世界景気・日経平均予想は昨年末時点の筆者予想

 今回、日経平均の年末予想を3万2,000円に引き上げたのは、今期(2024年3月期)も増益が続く見通しが強まったことが理由です。

東証プライム上場3月期決算主要841社の連結純利益(前期比)

出所:楽天証券経済研究所が作成

 2023年の米景気は減速するものの景気後退には至らず、2024年にかけて持ち直すことを前提としています。相対的に景況の良い日本は、2024年3月期に東証プライム上場企業で5.3%増益すると予想しています。東証プライムがPER(株価収益率)15倍で評価されることを前提に、日経平均は年末に3万2,000円に達すると予想しています。

 日本のコアコア・インフレ率(生鮮食品およびエネルギーを除くコアコアCPI(消費者物価指数)の前年比上昇率)が4月時点で4.1%まで上がってきたことも、企業業績および株価の追い風になると見ています。長年にわたり、ゼロインフレに苦しんできた日本企業にとって、干天の慈雨になると考えています。

日本の総合インフレ率(CPI総合指数前年比上昇率)とコアコア・インフレ率(生鮮食品およびエネルギーを除くCPIの前年比上昇率)推移:2020年1月~2023年4月)

出所:総務省より楽天証券経済研究所が作成

<ご参考>2022年12月29日の筆者レポートより2023年の日経平均予想を説明する部分を抜粋

 私は、2023年の日経平均は、「前半上値重く、後半強い」展開を予想しています。

 前提となる世界景気ですが、2023年前半は一段と悪化(減速)を予想しています。ただし、2023年後半から世界景気は持ち直し、2024年にかけて回復が加速すると予想しています。

 株は、景気の動きを先取りして動きます。世界の株式市場は、2023年前半はFRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ継続と世界景気減速を嫌気して上値の重い展開を予想しています。ただし、2023年後半は、2024年の世界景気回復期待を織り込んで上昇に転じると予想しています。

▼著者おすすめのバックナンバー

2022年12月29日:日経平均「2022年予想」の振り返りと「2023年予想」
2023年1月4日:2023年の日経平均:年初安・年末高を予想する理由

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