イールドカーブ(利回り曲線)はゆがんだまま、10年金利引き上げの思惑続く

 18日の金融政策決定会合で政策変更の発表はありませんでしたが、いずれ金利引き上げに追い込まれるとの見方は残っています。日本の国債の利回り曲線(イールドカーブ)がいびつな形のままだからです。

 日銀は「イールドカーブ・コントロール」という金融政策を実行中です。具体的には、10年国債利回りを上限0.5%に抑えるのに必要なだけ、10年国債を買い続ける政策を実施しています。

 昨年12月19日まで上限は0.25%でしたが、12月20日に上限を0.5%に引き上げました。国債のイールドカーブは以下の通り、変化してきています。

日本の国債のイールドカーブ:2021年末から~2022年1月20日までの変化

出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成

 2021年12月末時点のイールドカーブは、きれいな右肩上がり(長い金利ほど高い状態)でした。その後、日本のインフレ率が上昇し、日本の金利にも上昇圧力がかかるようになると、イールドカーブ全体が上昇してきました。

 ところが、10年金利だけは、日銀が上限を設けて押さえ込んでいるので、10年の周辺だけがへこんでいる、いびつなイールドカーブになりました。

 このいびつなイールドカーブが続く限り、「日銀はいずれ10年金利の上限を0.75%まで引き上げざるを得なくなる」との思惑は続くと考えられます。

 18日の日銀金融政策決定会合で、日銀が金融緩和維持の姿勢を示し、巨額の10年国債の購入を続けたことで、20日時点のイールドカーブは、会合前よりも低下しています。ただし、日本のインフレ率上昇が続く限り、市場からの金利上昇圧力は消えないと考えられます。