コロナ禍で奈落の底に突き落とされたJR東日本、まだ回復途上

 JR東日本は、2021年3月期に過去最大の赤字を計上しました。コロナ禍で遠出したり、旅行にでかけたりする人が激減したためです。近年の増収をけん引してきた外国人観光客が、全くいなくなってしまった影響も受けました。また、在宅勤務・リモート会議の普及で、近距離も長距離も、鉄道収入が大きく落ち込みました。

JR4社の連結経常損益:コロナで赤字転落2020年3月期・2021年3月期

出所:各社決算資料より作成

 JR4社の2022年3月期は、損益が改善したものの、JR九州を除く3社が依然赤字でした。2023年3月期はようやく黒字転換が見込まれていますが、会社予想ベースでまだ利益水準は低いままです。今後、国内旅行支援策と、外国人観光客の受け入れ拡大で、急速に利益の回復ピッチが速まると予想されます。

JR4社の連結経常損益:回復途上2022年3月期・2023年3月期(会社予想)

出所:各社決算資料より作成

 

 4社の2023年3月期の経常利益(会社予想)を比較すると、JR東海の回復が一番大きいことがわかります。回復をけん引する新幹線事業の比率が一番高いためです。今後旅行がさらに回復する時に、一番恩恵を受けるのが新幹線事業であることを考えると、短期的にはJR東海の投資魅力が一番高いことになります。

 ただし、私はJR東海には、積極的に投資したいと思いません。後段で詳しく説明しますが、長期的にリニア中央新幹線事業が収益の足を引っ張るリスクを考えているためです。

 私がJR4社で投資価値が一番高いと判断しているのは、JR東日本です。