ファンドマネージャー時代に大好きだったJR東日本、コロナ前は最高益

 私がファンドマネージャー時代に大好きだった銘柄に、JR東日本があります。今でも、好きです。

 何が良いかと言うと、地味で面白みのない銘柄に見えて、実は、次々と新しいビジネスを開拓し、コロナショック前までは、安定的に最高益を更新していたパフォーマンスの良い銘柄であったことです。新幹線を核とする鉄道業はもちろん、観光・不動産・小売・金融ビジネス、それぞれに成長期待がありました。

 ファンドマネージャー時代にJR東日本に単独取材に行き、経営戦略について1時間あまりディスカッションしたことがあります。その時、一番印象に残っているのは、先方の以下の言葉です。「1年2年では大きな変化のない会社ですが、10年ごとに大きく変化を遂げています」。その通りだと思いました。

 実際、JR東日本は10年ごとに大きな変化を遂げ、2019年3月期までは、安定的に最高益を更新してきました。最高益更新のドライバーは、新幹線でした。人口の増えない日本で、鉄道業は成熟産業と見られていましたが、新幹線収入の拡大によって、JR各社は、安定的に最高益を更新してきました。

 新幹線は、かつてビジネス客中心の乗り物でしたが、コロナ前には「国民の足」として、利用が拡大してきました。そこに、外国人観光客の利用拡大が追い風となっていました。グリーン席の利用率増加も、収益拡大に寄与していました。

JR4社の連結経常利益:コロナ前2018年3月期・2019年3月期

出所:各社決算資料より楽天証券経済研究所が作成