企業経営者の先行き景況感悪化は気がかり

 一方、企業経営者の景況感が悪化している状況には注意が必要と考えています。

 図表4は、米国のCEO(最高経営責任者)が抱く景気信頼感指数(CEO Confidence Index In The Economy 1 Year from Now)を示したものです。最新値(6月値)は5.57まで低下しており、急速な金融引き締め、株式市場の下落、資金調達コストの上昇(信用市場悪化)、仕入れコストの上昇、設備投資計画や雇用維持の困難さなどを反映した動きとみられます。

<図表4>米CEOの先行き景況感が急速に悪化

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2012年初~2022年6月)

 例えば、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOは今月1日に行われた会合で、「(経済にとっての)ハリケーンはすぐそこまで来ている」と発言。「それが小型なものか超大型なのかは分からないが身構えた方がいい」と述べ注目されました。

 また、ゴールドマン・サックスのジョン・ウォルドロン社長も3日、「私がこれまでのキャリアで見た中で、最も複雑でダイナミックな環境だ。このような衝撃がいくつも重なったことは、私にとり前代未聞のことだ」、「この先は一段と厳しい経済状況になることが見込まれる。資本市場の環境が厳しくなることは間違いない」と述べました。

 こうした企業経営者による先行き経済を巡る不安が、企業業績見通しの悪化につながり、株価の下押し圧力となるリスクについて警戒せざるをえません。特に、7月上旬から発表される主要各社の4-6月期決算とガイダンス(業績見通し)の変化を注視したいと思います。

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