今週:景気後退占う欧米の製造業指数やFOMC議事録に注目!

 景気後退懸念により、米国の長期金利の指標となる10年国債の利回りは20日(金)に2.7%台まで低下。

 今週の日本株は、下げ過ぎた米国株の反発も見込まれ、上昇含みの展開も考えられます。

 今週は、24日(火)にフランス、ドイツ、英国、ユーロ圏、米国の景況感を占う5月のPMI(製造業・サービス部門購買担当者景気指数)の速報値が発表されます。

 物価高による景気後退が焦点になっているだけに、今後は製造業関連の景気指数に注目が集まりそうです。

 今週最大の注目は25日(水)深夜に発表される、5月開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録です。

 3月に続く0.5%の利上げとQT(量的金融引き締め)の開始が決定されたこの会合で、さらなる強硬な金融引き締め策が議論されていたら、再び米国株が急落するリスクも高まります。

 27日(金)には、米国の個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)も発表。前回3月分は前年同月比6.6%、前月比でも0.9%と物価上昇が加速。今回4月分は伸びが鈍化する予想になっています。

 米国株の主要3指数が年初来安値を更新する下げ相場の元凶は、物価高以外ありません。

 先週のターゲット・ショックは、物価高が続くとそれを価格転嫁できない企業の業績が悪化することの前兆シグナルでした。

 もし価格転嫁が進んだとしたら、今のところ好調な米国の個人消費もいずれは落ち込むでしょう。

 どちらに転んでも、米国経済の景気後退が半ば確実視されるようになったことが、米国株の下落が止まらない理由です。

 泥沼化しつつあるロシアのウクライナ侵攻や、世界の工場といえる中国の強硬なゼロコロナ政策の影響で、世界的なインフレが急に収束するとは思えません。

 だとするなら、物価上昇が止まるほど景気が低迷しない限り、株価が本格的に底打ちすることはないのではないか、という恐怖感が世界の株式市場を支配しています。

 今後は日本の内需産業も物価高を価格転嫁できず、業績悪化に陥る、という連想も働きます。

 米国の景気後退懸念で長期金利が低下すれば、日米金利差が縮小します。それにより、日本株独歩高の一因だった円安トレンドが停滞する懸念もあります。

 ただ、長期金利の低下は、急落が続く東証グロース市場の成長株の底打ち反転には貢献するかもしれません。

 新型コロナウイルス感染者の増加が落ち着き、リオープン(経済再開)消費に沸く日本経済。

 今後は思い切った外国人の入国制限緩和でインバウンド需要を喚起するなど、需要不足を解消するような岸田文雄政権の経済活性策に期待したいところです。