今週:戦況悪化による反動安に警戒が必要

 ただし、先週上げ過ぎた分、今週は反動安に警戒が必要です。

 ロシアとウクライナの戦争は、戦況が不利になったロシアが生物化学兵器や核兵器を限定的に使う懸念、ウクライナに武器輸送をしているポーランドを攻撃する可能性、中国がロシアに軍事支援を行って戦争が世界規模の対立に拡大するリスクなど、株価急落につながる危機の芽がまだまだ残っています。

 日本が祝日の21日(月)には、FRBのパウエル議長が会合で「米国の物価上昇率は高すぎる。今後0.5%の利上げの可能性もある」と発言したため、米国株が下落しました。

 パウエル議長は23日(水)夜に国際決済銀行の会議でも発言するので要注目です。

 23日(水)には、ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会で演説する予定です。

 今のところ、ウクライナ危機が日本にもたらした最大の影響は急速な円安です。

 その原因は、有事のドル志向や、米国で利上げが行われたことによるドル高の反動といえます。

 先週は、ユーロ、豪ドルなど米ドル以外の通貨に対しても急速な円安が進行しました。これは日本株にとって今週もポジティブな要因になるでしょう。

 ただし、原材料の高騰を値上げで解消できない小売り、外食、食品、運輸といった内需系の業績不振企業の株価には今後、円安が逆風になる可能性もあります。

 24日(木)夜には、ユーロ圏やドイツ、フランス、英国の3月製造業・サービス部門PMI(購買担当者景気指数)の速報値が発表されます。

 ウクライナ危機の影響で、地理的に最も近い欧州各国の3月の景況感がどれぐらい落ち込んでいるかに大きな注目が集まるでしょう。

 厳格なゼロコロナ政策を続ける中国でのオミクロン型の感染拡大にも注意が必要です。感染拡大が続くと、「世界の工場」である中国の生産停滞で世界的な物価高や日本の製造業への打撃も心配されるからです。

 先週の急激な株価上昇は、投資家が「総悲観」だったことに対する修正です。

 こうした激しいリバウンド上昇の背景には、ウクライナ危機などで株を売っていた投資家が、状況緩和で慌てて買い戻しに走ったという要因もあります。

 急激な買い戻しが終わると相場が再び下落するリスクは残っています。

 なぜなら、ロシアのウクライナ侵攻という一番の不安要因が、依然として解決されていないからです。

 年度末の3月下旬は一般的に株価が上昇しやすいといわれている時期。劇的なリバウンド上昇の継続、少なくとも下値固めの底堅い展開に期待したいところです。