今週の株式市場は、引き続きウクライナ危機で乱高下が続きそうです。ただ、米国が15~16日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で予定する利上げ開始により、雰囲気が変わる可能性もあります。

先週:原油高が経済に打撃。「スタグフレーション」の恐れ

 先週の日本株は7日(月)に米国がロシア産原油の禁輸に踏み切るというニュースで急落。

 原油価格の急騰もあり、9日(水)の日経平均株価は2万5,000円の大台を割り込み、1年4カ月ぶりの安値に沈みました。

 同日、アラブ首長国連邦の駐米大使が原油増産支持を表明すると一転、10日(木)は原油安・株高の展開に。

 しかし、ECB(欧州中央銀行)が10日夜、量的緩和策の縮小を早めると表明。米国の2月CPI(消費者物価指数)の伸びがさらに加速したことも悲観され、11日(金)は再び大きく下落しました。

 11日の日経平均株価は前週比822円安の2万5,162円で取引を終えました。

 さらにひどいのが東証マザーズ指数です。11日の東証マザーズ指数は、前日比3.8%下落。原油高による金利上昇懸念から、上昇機運は完全に消え失せました。2月24日につけた最安値更新も迫ってきました。

 11日(金)夜の米国市場ではインフレ懸念が台頭して金利が上昇。金利上昇に弱いアップル(AAPL)テスラ(TSLA)など大型ハイテク株が売られました。

 多くの投資家が運用指標にするS&P500種株価指数は前週比で2.9%も続落。株価の底割れ懸念も台頭しています。

 為替市場では安全資産といえる米国ドルが独歩高(単独の通貨のレートだけが上がること)。1ドル117円台まで急速なドル高円安が進んでいます。

 先週、ロシアとウクライナの戦争は膠着(こうちゃく)状態が続きました。

 それでも株価が大きく下げたのは、原油高が欧州をはじめとした世界経済に大きな打撃を与えるのではないかという懸念からです。

 物価上昇と景気後退が同時進行する「スタグフレーション」の恐怖が、株価乱高下の元凶となりました。

 週末の13日(日)には、ロシアがポーランド国境に近いウクライナ西部の町・リビウの軍事基地をミサイル攻撃するなど、戦争自体が「ロシア対 NATO(北大西洋条約機構)」へ激化する恐れすら出てきました。