今週:米利上げ開始へ。パウエル議長の発言に注目

 今週も引き続きロシアとウクライナの戦争が最大のかく乱要因になりそうです。

 ロシアのミサイル攻撃は、西側諸国からウクライナへの武器流入に対する明らかな警告です。

 誰もがほぼ予期していないことが突如起こって株式市場が大混乱に陥る。そんな予期せぬ出来事のことを投資の世界では「ブラック・スワン(黒い白鳥)」と呼びます。

 第3次世界大戦という「ブラック・スワン」だけは絶対、起こってほしくないものです。

 今週の最大イベントは、日本時間17日(木)未明に終わる米国のFOMCです。

 米国の金融政策を決定する今回のFOMCでは、40年ぶりのインフレを抑え込むため、0.25%の利上げが確実視されています。

 FOMCは世界中の投資家が注目する一大イベントということもあり、パウエル議長の発言で市場の暗い雰囲気が少し変わる可能性もあります。

 米国では、FOMC終了前の15日(火)に2月卸売物価指数、16日(水)に2月小売売上高が発表されます。ともに物価上昇やその影響を受ける個人消費の動向を示す指標なので、要注目です。

 ただ、米国のCPIはウクライナ危機前の2月段階で、すでに前年同月比8%目前まで上昇。

「金融市場の神」とあがめられてきたFRB議長も物価がこれほどまで上昇すると、「株価対策のために金融引き締めを遅らせる」という手は打てません。

 かといって、長期的な物価上昇が続くときに「株は怖い」と、銀行預金するのも得策ではありません。

 なぜなら、物価が上昇するとその分、現金の価値が目減りしてしまうからです。銀行預金はインフレに一番弱い金融商品といえます。

 そう考えると、コモディティ(商品)関連の投資信託やETF(上場投資信託)へ、資金を分散投資するのが賢明な判断でしょう。

 世界中に原油の権益を持つINPEX(1605)、金や銅の鉱山権益を持つ住友金属鉱山(5713)、ロシアからの供給不安で価格が急騰するニッケルに強い大平洋金属(5541)など、現物株を少し買っておくのもいいでしょう。

 むろん、今は急騰しすぎているので高値つかみには気をつけましょう。ある程度、価格上昇が落ち着いたら、というのが大前提です。

 先週一週間の下落率をみると、サンバイオ(4592)が25%安、メルカリ(4385)が18%安など、東証マザーズ市場の大型成長株が大きく下落しました。今週も株価が割高な新興株や半導体関連株などの下げがきつくなりそうです。

 あまりにも波乱続きの展開で不安を感じている投資家の方も多いと思います。ただ、「夜明け前が一番暗い」という言葉もあります。株式市場の混乱もいつかは終わる。それだけは確かです。