今日の為替ウォーキング

今日の一言

国家があなたの為に何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何ができるかを問うてほしい。- ジョン・F・ケネディ(第35代米大統領)

Bad Guy

「セーフヘブン(安全資産)」通貨と呼ばれる円は、地政学リスクやそれに連動する株価の大幅下落で投資家が警戒モード状態になる、いわゆるリスクオフのマーケットのときには逃避先を求めるマネーが向かう先として円が選ばれる傾向がある。

 しかし、今回のウクライナ危機では、ドル/円はそれほど円高に動いていない。この日(24日)のマーケットでは、逆に円安だ。なぜか?

 ひとつは、エネルギー価格の高騰だ。エネルギー輸入大国である日本では、石油購入のためのドル手当てに必要性が高まっていることがドル/円を下支えしていると考えられる。そして、もうひとつは米長期金利の上昇だ。株価下落はリスクオフだが、ウクライナ危機でも米長期金利がしっかりしていることで、金利差の観点ではドル/円の買い材料となった。

 この日のマーケットは、ウクライナ危機からの「連想」で台湾ドルが急落した。日本の近隣で軍事侵攻を伴う地政学リスクが発生した時に、果たして日本の現政権が国益を守れるのかという不安がセーフヘブンとしての円の魅力を薄めているのかもしれない。

 マーケットは今回のウクライナ情勢を楽観視していたわけではなく、「最悪の事態」を想定して動いていた。「最悪の事態」とは、ロシアの銀行を、貿易取引のための重要な金融インフラであるSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除すること。しかし、今回の米欧の制裁からは除外されたことで、マーケットにとっては「安心材料」となってリスクオフが後退した。

 とはいえ、事態が改善したわけではなく、今後の米欧の対応を注視する必要があるが、3月に入ればマーケットの関心は再び中央銀行の政策へと移るだろう。ウクライナ危機でもFRBやECBが予定通り金融引き締め方向に動くことが確認できるなら、再びドル高、ユーロ高に動くと期待される。

今週の 重要経済指標

出所:楽天証券作成