「中間反落=好機」へそろり

 3~6月に、FRBが金融引き締めステップを速める一方、「一時的」インフレ部分に鈍化の兆しが出る状況を想定すると、どのような株式投資スタンスが適切でしょうか。筆者は、2020年3月下旬から1年9カ月続いた大金融相場が終息し、次に業績相場に移行するまでの「中間反落」を、およそ3分の1の6カ月、つまり2022年1~6月と初期設定しました。これは経験的なざっくりとしたイメージです。

 首尾良く、FRBの引き締めステップとインフレ鈍化のメドが早めに立てば、中間反落相場はモタモタしながらも4~6月に下値を切り上げという楽観、高インフレ継続で金融引き締めの行く末も展望しにくい事態では中間反落を7~9月に延長する慎重と、シナリオに柔軟に幅を持たせて見ています。

 ただし、相場の下値にメドをつけた市場は復調を速める可能性があるため、3~6月に中間反落の下値切り上げかという楽観シナリオに沿った投資ポジションを、ゆったり無理せず整える構えです。

 復調過程としてイメージするのは、2021年2月の長期金利上昇時に発生したハイパーグロース株暴落、引きずり込まれた一般グロース株下落を、景気・バリュー株が下支えした同年4~6月の「トリクルアップ展開」です。まずは、利上げに抵抗力があり、景気に沿って動く保守銘柄をベースに据え、3月FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果確認以降に、相場全般の下値切り上げの復調リズムを確認しながらグロース系を物色していく流れです。

 相場タイミングを狙わない投資家も、既に中間反落の中程は来ている可能性を想定すれば、ここからの時間分散投資は、2021年後半の金融相場終盤に向かう場面よりはるかに妙味が高いと言えるでしょう。

 もちろん、インフレ・金利・金融政策など先行き不透明な状況が、短期的に払拭(ふっしょく)されることはないでしょう。インフレ動向次第で、相場復調の時期、選別すべき銘柄やテーマ、さらにその後の業績相場の強さと持続力も変わるでしょう。新型コロナ感染、地政学などその他のリスク要因も排除されません。

 それでも、中間反落が株式相場サイクルにおいては中度のリスク局面であることを踏まえると、ここで投資に怯むのではなく、急落から既にワンテンポの間を空けたここからは、前向きにじっくり取り組む好機と判断します。

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