テスラ急騰、INPEX低迷

 この流れを受けて株価が急騰している銘柄の代表がEV(電気自動車)世界最大手のテスラです。2年で株価は10倍以上に上昇しました。

 2021年12月期の純利益は約50億ドル(約5,500億円)と見込まれていますが、時価総額は1兆ドル(約110兆円)を超えました。2021年12月期PER(株価収益率)で200倍を超えています。
 逆に、この流れで株価が低迷しているのが資源関連株です。私が「買い」推奨しているINPEX(1605)(今年の4月に「国際石油開発帝石」から社名変更)もそうです。

テスラとINPEXの株価推移:2019年末~2021年12月6日

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 INPEXは、日本最大の石油・ガス開発企業で、海外20カ国に権益を保有します。同社の原油・ガス生産量は日量57.4万バレル(ガスは熱量で原油換算)、保有埋蔵量は65億バレルに達する巨大な日の丸資源企業です。

 同社の強みは、オーストラリア(イクシス)・インドネシア(アバディ)などで、技術的に難しい海底ガス田を開発、陸上にガスを誘導してLNG(液化天然ガス)に転換して日本などに輸出するインフラを構築していることです。

 最近、天然ガス価格が大きく上昇したことを受けて、株価は上昇しつつありますが、それでもまだコロナ前の高値を回復していません。2021年12月期のPERでわずか7.4倍、PBR(
株価純資産倍率)では0.5倍の低い評価となっています。

 化石燃料ビジネスを展開している企業としてESG重視の流れから取り残されているためと考えられますが、私はきわめて割安と判断しています。

 これから世界中で脱炭素が進められます。特に、脱石炭は急速に進むと予想されます。自然エネルギーの大幅な供給拡大が見通せない中で、脱石炭・脱石油が進められると、その歪みで環境負荷が相対的に低いガス需要が急速に拡大するのは、必然と考えられます。INPEXのLNG事業の価値はこれから大きくなっていくと予想しています。

 また、出力が安定しない自然エネルギーによる発電が増えると、大規模停電を避けるために、調整電源としてガス火力の需要が拡大するのも明らかです。

 中東アフリカの油田などで焼却処理されるガスを皆無にするためにも、ガスをLNGに転換して世界中で活用する技術の重要性は一段と高まると考えています。