チャリンとたまる株の「配当」、資産づくりの強い味方だ!

 株でもらえる利益は大きく分けて二つあります。株を安く買って高く売ることで得る「値上がり益」と、企業から株主への利益の分け前として得られる「配当金」です。前者を「キャピタルゲイン」、後者を「インカムゲイン」と呼ぶこともあります。

 どちらも自分の資産が増えるとうれしいもの。ダブルでゲットできればそれに越したことはないのですが、どちらをより重視するかは、買う人の「どのくらい損してもいいか」「どのくらいの利益を狙いたいか」「どのくらいの期間で投資できるか」といったスタンスによって変わってきます。

 今回、紹介するのは「配当」です。

 企業は、商売で得た利益の一部を、応援してくれた株主に「配当金」という形でプレゼント(還元)します。一方、配当がない企業もあります。これは、もうかっていないために配当を出す余裕がないからです。裏を返せば、配当が出せるということは、もうかっている、もしくはもうもうけがたまっている企業ということになります。

 株式投資とは、成長しそうな企業、稼ぎそうな企業に投資をして、そのリターンをもらうものなので、「配当」の大きい会社を選ぶことは、とてもまっとうな行動といえます。

 長期的に資産をつくっていくためには、この配当金を“安定的に”もらうことが重要なポイントです。半年や1年ごとに、チャリンチャリンともらえる配当金が何年も続けば、資産は着実に増えます。

 では、配当金ってどのくらいもらえるのでしょう。

 配当金は「1株当たりXX円」という形で決まっています。購入時の株価に対して、年間でどれだけの配当をもらえるか示した数値を「配当利回り」といいます。配当利回りは次の計算式で求められます。

■配当利回りの計算方法

1株当たり年間配当金÷株価×100=配当利回り

 株価が1,000円、1株あたり年間配当金が50円なら、配当利回りは50(円)÷1,000(円)×100=5(%)。この株を100株買うには10万円(1,000円×100株)が必要ですが、1年間で5,000円の配当金がもらえるということになります。

ながーく安定的に資産を増やすなら「連続増配」がいいかも?

 この利回り5%という数値はもちろん大切ですが、それよりも配当が「継続的に、安定的に」もらえるかどうかが重要です。いざ買っても、配当をもらえたのが、たった1年だけではあまり意味がありません。

 先ほどお話ししたように、配当は企業の利益から出るもの。つまり、安定的に配当がもらえるかは、その企業が稼ぎ続け、持続的に成長できるかにかかっています。

 ただ、数千とある上場企業の将来性や業績、配当などをこまごまと分析するのは、かなり難しいことです。そこでいい方法があります。それは「連続増配」という視点です。

 連続増配とは、配当金を継続的に増やすことです。50円、51円、52円…と、徐々にですが、年間の配当金を増やしていく企業があるのです。このような企業は、業績が比較的安定していて、かつ株主に対する利益の還元を重視しているものと考えられます。

 連続増配を続けるためには、そのもとになる利益を確実に増やしていかねばならないので、企業にとっては大きなプレッシャーとなります。「連続増配銘柄」という看板を背負う企業は、こうした強い意欲を持った企業であると言うことができるでしょう。

 つまり、連続増配をしている企業の株(銘柄)をピックアップして投資すると、長期的な資産づくりに役立つと考えられそうです。

 下の表の銘柄は以下の三つのポイントで選んだものです。ぜひ参考にしてください。

  • 12期以上増配を続けている(実績ベース)
  • 35万円以下で買える
  • 配当利回り3%以上

初めてでも選びやすい連続増配株10選

※株価などのデータは2022年3月16日現在。
※連続増配期間は実績(3月期決算企業は2021年3月期まで)
※配当利回りの大きい順

スカラ(4845)
株価 701円
いくらから
買える?
7万100円
配当利回り 5.14%(2022年6月期配当36円予定)
連続増配期間 12年
どんな会社? 企業向けSaaS/ASP(クラウドにあるソフトウエアをインターネット経由で利用できるサービス)を主力に、人材・教育、EC(電子商取引)サイト運営、ベンチャー投資事業など幅広く展開。M&A(企業の合併・買収)を発表したため2022年6月期業績は未定に変更だが、企業や自治体の旺盛なDX(デジタルトランスフォーメーション)ニーズなどを背景に従来は大幅増益を計画していた。DXで産学連携を支援するマッチングプラットフォーム「逆公募プロポーザル」、飲食店の事業再構築支援「飲食ビジネスプラットフォーム」などの新展開に注目。
三菱HCキャピタル(8593)
株価 563円
いくらから
買える?
5万6,300円
配当利回り 4.62%(2022年3月期配当26円予定)
連続増配期間 22年
どんな会社? リース業界では国内トップ級。三菱UFJリースと日立キャピタルが2021年4月に経営統合して現体制に。海上コンテナや航空機リースに強みを持つ。2022年3月期純利益は950億円で、旧三菱UFJリースの前期実績比71.7%増と大幅増益の見通し。2社単純合算数値に対しても同8.8%増益となる。企業や官公庁などに提供する金融サービスや、法人向けに販売課題を解決するサービスなどが伸長。米国の金利上昇局面では株価が上昇しやすい傾向にある点が注目される。
みずほリース(8425)
株価 2,995円
いくらから
買える?
29万9,500円
配当利回り 3.67%(2022年3月期配当110円予定)
連続増配期間 19年
どんな会社? みずほフィナンシャルグループの持分法適用会社となる大手リース企業。バランスの取れた資産ポートフォリオが特徴。設備投資に対する財務ソリューションに強みを持つ。2022年3月期純利益は前期比5.6%増の230億円となる見通し。2021年10-12月期に入ってからは、不動産分野の好調などで契約実行高が急速に改善している。足元で収益が減少している航空機分野は、今後世界で新型コロナウイルス感染収束が進めば急速に改善する見通し。2023年3月期以降の業績押し上げ効果として期待される。
アイカ工業(4206)
株価 3,030円
いくらから
買える?
30万3,000円
配当利回り 3.56%(2022年3月期配当108円予定)
連続増配期間 12年
どんな会社? 国内シェアトップのメラミン化粧板を基軸とした建装建材事業と、工業用接着剤などを扱う化成品事業が二本柱。2022年3月期経常利益は前期比16.1%増の214億円になる見通し。国内で住宅着工が堅調に推移する中、建装建材事業の利益を大きく伸ばす。化成品事業も、中国、ベトナム、タイを中心に海外販売が好調に推移している。足元では原材料費上昇の影響が強まりつつあるが、住宅着工が堅調な状況下では販売価格への転嫁が進みやすく、タイムラグを経て2023年3月期の収益改善要因につながる。
ニチアス(5393)
株価 2,450円
いくらから
買える?
24万5,000円
配当利回り 3.51%(2022年3月期配当86円予定)
連続増配期間 13年
どんな会社? 各種断熱製品のパイオニア的な存在。プラント、鉄鋼、半導体、自動車、住宅などさまざまな産業分野で事業を展開。2022年3月期経常利益は前期比31.6%増の280億円となる見通し。2021年4-12月期の決算で上方修正している。半導体製造装置向けに好調な高機能製品や、コロナ禍からの生産回復を見込む自動車部品がけん引役となっている。2023年3月期にかけては事業環境が一段と改善しそう。半導体分野の勢いが続くほか、半導体の供給回復が進み自動車メーカーが挽回生産を本格化することが想定される。
リコーリース(8566)
株価 3,375円
いくらから
買える?
33万7,500円
配当利回り 3.41%(2022年3月期配当115円予定)
連続増配期間 26年
どんな会社? リコー系のリース会社で、みずほリースと資本業務提携関係にある。オフィス関連機器などのファイナンス・リースが主力で、取引先企業40万社のうち98%が中小企業という顧客基盤に特徴がある。2022年3月期経常利益は前期比4.5%増の183億円となる見通し。2021年4-12月期時点で通期見通しの94%に達し、上振れの公算は大きい。取扱高は減少しているものの、資産利回りの改善や販売管理費の減少で利益率が上昇している。三菱HCキャピタルの発足に伴い、リース業界の再編機運は今後も折に触れて高まる余地がありそうだ。
シークス(7613)
株価 951円
いくらから
買える?
9万5,100円
配当利回り 3.26%(2022年12月期配当31円予定)
連続増配期間 15年
どんな会社? 電子機器受託製造サービス(EMS)の国内最大手企業。2021年12月末時点で世界に21の営業・物流拠点を置き、グローバル展開力に強みを持つ。2022年12月期経常利益は前期比34.8%増の80億円となる見通し。自動車生産の回復に加えて、新規顧客向けの量産も立ち上がる見込みとなっている。今後もタイやメキシコで工場の新設を計画し、足元の旺盛な需要を取り込む方針。収益の内訳は車載関連機器の構成比が高いため、自動車業界の挽回生産、電気自動車(EV)の普及拡大などが強い追い風となりそう。
積水樹脂(4212)
株価 1,759円
いくらから
買える?
17万5,900円
配当利回り 3.18%(2022年2月期配当56円予定)
連続増配期間 12年
どんな会社? 積水化学グループ。防音壁などの道路環境製品、車線分離標や道路反射鏡など交通安全対策製品に強み。人工芝やフェンス、梱包材なども製造販売している。2022年3月期経常利益は前期比1.2%増の114億円となる見通し。防音壁材の売り上げ増が寄与するほか、路面標示材や標識関連製品などを手掛けるグループ会社の事業が順調に推移している。電動化や自動運転など自動車業界が「100年に1度の大変革期」を迎える中、交通安全対策関連製品の事業機会などは広がる可能性がある。継続的に自社株買いや消却を実施していることも評価ポイント。
SPK(7466)
株価 1,327円
いくらから
買える?
13万2,700円
配当利回り 3.01%(2022年3月期配当40円予定)
連続増配期間 23年
どんな会社? 自動車部品の専門商社で、国内では業界トップの実績。ブレーキや電装品などの機能部品、車検パーツなどを取り扱い、取扱点数は約3万点。国内販売先は1,500社以上で、海外も80カ国、300社に輸出。2022年3月期経常利益は前期比2.8%増の21億円となる見通し。2021年4-12月期までは前年同期比2割増で推移している。中南米を中心に海外での需要が極めて好調。株式の流動性の乏しさがネックだが、アナリストが長期連続増配企業として調査対象とする動きが増えれば、割安な株価水準の底上げも期待される。
アルフレッサホールディングス(2784)
株価 1,793円
いくらから
買える?
17万9,300円
配当利回り 3.01%(2022年3月期配当54円予定)
連続増配期間 17年
どんな会社? 医薬品卸売で国内首位。医療用医薬品製造なども手掛ける。取引先企業数は約1,000社、取扱商品数は約35万アイテム。幅広い事業領域、強固な流通体制などが強みになっている。2022年3月期経常利益は前期比20.1%減の255億円となる見通し。独占禁止法違反により事業に影響が出ている。対応策として、近年ではヘルスケアIT関連企業との連携強化などに積極投資しており、その効果に注目。2023年3月期から始まる新中期経営計画なども期待材料になりそう。