勝ち組につけ!株価は「人気投票」でもある

 株式の投資スタイルには値上がりしている株を買う「順張り」と、値下がりしている株を買う「逆張り」があります。

 順張りは「トレンドフォロー」とも呼ばれ、「これまで値上がりしてきたのだから、これからも値上がりしそうだ」とのシンプルな発想が土台にあります。反対に「こんなに値下がりしたのだから、どこかで値上がりに転じるだろう」と考えるのが逆張りです。

 順張りと逆張りのどちらが優れているか断定はできません。株式投資の基本は、「安く買って高く売る」ことであり、この意味では、逆張りが王道といえます。しかし、株価の安い水準はどこなのかは判断しにくく、また、買ったときの株価が確かに安いところであっても、上がるまでに時間がかかることもあるでしょう。

 株式投資の方法もさまざまであり、特定の株を買って長期間保有する投資もあれば、短期間で複数の株を売買するような投資もあります。この分け方で言えば、比較的、短期投資の方が順張りに向いていると考えられます。

 株価が動いていない局面で買い、自分の買った直後からぐんぐん上値を追うのが理想ですが、現実的にそううまくいくものではありません。たとえ、買った株が「いい株、上がる株」だったとしても、上がるタイミングはあくまで、その株の人気が出た時なのです。長期投資であれば、それでもいいでしょうが、短期投資中心であれば、その株が上がるまで、ほかの株の売買でもうけるチャンスを失うことになります。

 上がる株というのは結局、「優良な株」よりも「いま人気のある株」であり、株式投資はいわゆる「人気投票」の側面が強いといえます。この考え方からすると、みんなが買っている株に自分も合流する順張りは、理にかなったものとなるでしょう。

 ただ、上がっている株を買う順張り投資で注意してほしいのは、上昇が止まって下落に転じるときの下げ幅が、逆張り投資よりも大きくなりやすいことです。この下落のリスクを減らすためには、値上がりの理由を理解しておく必要があります。単に出所不明なうわさや思惑によって上昇してきた株などは、一気に損失を拡大させてしまうような下落に見舞われる可能性もあります。順張り投資には、業績や配当などの確かな裏付けがある株を選ぶべきです。

株式市場が大きく売られているときの逆行高銘柄は買いチャンス

 中小型株などでは、一度人気づいた株はあっという間に株価が上昇し、順張り投資を行ったつもりが、高値つかみとなるケースもままあります。なかなか有効な投資チャンスは訪れにくいですが、株式市場全体が大きく下がっている場合などは、まさにこうした順張り投資に適した株を見いだせるチャンスとなります。

 株式市場の下落局面においては、全般的に保有株式を処分する動きが強まり、買い進められた株があったとしても、目立つほどの上昇率にはならないはずです。もちろん、全体相場がその後に上昇するならば、高値つかみともなりにくいでしょう。

 ちょうど、2022年に入って、株式市場は大きな波乱に見舞われました。特に、中小型株が中心のマザーズ指数は、3月24日現在でも、年初から約23%下落した水準にあります。こうしたなか、年初から逆行高しているような株は、着実に評価が高まっている状況にあるものだと考えられます。そのなかでも、足元の業績が好調と確かな裏付けがあるもの、全般的に逆行高している資源関連株ではないものなどが、注目できるのではないかとみられます。

 以下の銘柄は、上昇トレンド株を五つのポイントでセレクトしました。ぜひ参考にしてください。

  • 20万円以下で買える
  • 時価総額が100億円以上
  • 2022年に入ってからの株価上昇率が10%以上30%未満
  • 2021年3月期、2022年3月期予想ともに経常増益率が10%以上
  • 以下八つの業種の銘柄を除く(銀行・保険・証券・その他金融、鉱業、非鉄金属、鉄鋼、石油)

初めてでも選びやすい上昇トレンド株10選

※株価などのデータは3月23日現在
※時価総額の大きい順

関西フードマーケット(9919)
株価 1,247円
いくらから
買える?
12万4,700円
2022年の株価上昇率 16.76%
業種 小売り
どんな会社? H2Oリテイリングの子会社で、関西最大級の店舗数を誇る食品スーパー。2022年2月に、関西スーパーマーケットとイズミヤ、阪急オアシスが経営統合して現体制に。統合3社の業績を単純合算すると、2022年3月期の営業利益は65億円(会社計画には、関西スーパー分が2022年1-3月期のみ反映)と、1年前との比較では3億円ほどの減少となるもよう。統合関連費用5億円などが重しとなる。当面の注目点は、大量仕入れによる原材料費の減少や、経費の削減などといった経営統合の効果が、2023年3月期の業績にどのように表れてくるかだ。
ヤーマン(6630)
株価 1,127円
いくらから
買える?
11万2,700円
2022年の株価上昇率  17.15%
業種 電気機器
どんな会社? 美容健康機器の製造販売や化粧品の輸入販売などを行っている。美顔器のシェア(市場占有率)はトップ。通販、店頭販売、直販と販売ルートは多様化している。中国市場を中心に、海外売上高比率も約3割を占める。従業員に占める女性の割合が74%(2021年4月現在)と高い。2022年4月期の営業利益は前期比14.5%増の70億円となる見通し。中国市場向けの販売が大きく伸びている。高い製品開発力やテレビCMなどによる販促力が強み。美容機器と化粧品の併用などを狙った製品展開なども注目される。
トーセイ(8923)
株価 1,139円
いくらから
買える?
11万3,900円
2022年の株価上昇率  12.77%
業種 不動産
どんな会社? 資産価値の下がった不動産を取得し、デザインや設備の改修などを行い、価値を高めて販売する再生販売事業が主力。新築ビルや住宅の販売、不動産賃貸なども手掛ける。2022年11月期の税引前利益は前期比16.5%増の120億円となる見通し。分譲マンションや戸建住宅などの販売拡大が見込めるもよう。幅広い事業領域が強みであり、今後は、新型コロナウイルス禍で落ち込んでいたホテルや商業施設などの回復が期待材料になる。配当性向(利益に占める配当の割合)を段階的に引き上げる方針もあり、評価ポイントと言える。
アイロムグループ(2372)
株価 1,967円
いくらから
買える?
19万6,700円
2022年の株価上昇率  19.72%
業種 サービス
どんな会社? 医療機関向け治療支援(SMO)事業を主力に、医薬品開発受託なども行う。先端医療事業を手掛けるグループ会社のIDファーマは、ベクター(遺伝子組み換え技術に用いられるDNAなどの分子)開発・製造において世界トップクラスの技術を保有。2022年3月期の経常利益は前期比84.9%増の25億円となる見通し。SMO事業において、がん領域の試験受託が増加したほか、プライマリー(生活習慣病などの疾患)領域の大型案件を複数受託したもよう。独メルク社がサポートするワクチンおよび遺伝子治療薬の開発が今後の期待材料。
ハイマックス(4299)
株価 1,345円
いくらから
買える?
13万4,500円
2022年の株価上昇率  15.25%
業種 情報・通信
どんな会社? システムの基本設計から、開発、構築、運用、保守までを一貫して手掛けるシステムインテグレーター。顧客の業種は銀行、証券、保険、クレジット、公共、流通など幅広い。中央官庁向けでは電子申請業務などのシステム開発に携わる。2022年3月期の経常利益は前期比24.1%増の17億円となる見通し。銀行業界向けや新規参入した陸運業界向けが拡大しているもよう。金融業界や公共分野で広がっている、IT技術による変革「DX(デジタルトランスフォーメーション)」関連案件の受注獲得に注力するため、技術者の育成を促進している。
ティアンドエス(4055)
株価 1,692円
いくらから
買える?
16万9,200円
2022年の株価上昇率  10.37%
業種 情報・通信
どんな会社? システム開発会社。Windowsアプリケーション(利用者の業務や目的に応じて作成されたプログラム)開発やWeb系業務アプリケーション開発で多数の実績をもつ。半導体工場の運用・保守サービスも重点事業で、東芝や日立、キオクシア(旧東芝メモリ)グループが主要取引先。2022年11月期の経常利益は前期比32.9%増の5億5,700万円となる見通し。半導体関連業界からの大型受注が継続するほか、AI(人工知能)関連の受注も拡大の見込み。半導体関連株の一角と捉えることもでき、同関連株との比較では株価の出遅れ感が強い。
アルチザネットワークス(6778)
株価 1,314円
いくらから
買える?
13万1,400円
2022年の株価上昇率  10.70%
業種 電気機器
どんな会社? 通信計測機の開発を行い、通信業者や通信機器メーカーに販売している。2022年7月期の経常利益は前期比67.4%増の13億8,400万円となる見通し。上半期(2021年8月~2022年1月期)の決算発表時に大幅に上方修正した。高速通信規格「5G」の普及により国内向け販売や基地局の性能評価業務などを行うテストサービスが好調に推移している。2022年5月には、情報通信システムにおける保守・運用・監視サービスを行うシー・ツー・エム社を子会社化し、NTTドコモ以外の通信キャリアとの取引拡大につながる可能性も期待されている。
カヤック(3904)
株価 745円
いくらから
買える?
7万4,500円
2022年の株価上昇率  11.03%
業種 情報・通信
どんな会社? 広告の受託制作、ソーシャルゲーム、eスポーツ(ゲーム対戦競技)大会の運営受託などを手掛けている。主要ゲームは「ぼくらの甲子園!ポケット」、「キン肉マンマッスルショット」など。国内最大級のゲームコミュニティ「Lobi」も運営。2022年12月期の経常利益は前期比18.4%増の15億円となる見通し。ゲーム事業、eスポーツ事業が2割強の売り上げ成長を見込んでいる。新規事業としてメタバース(コンピュータ上に構築された仮想空間)専門部隊を設立し、2022年12月期から本格的に関連サービスを展開していく計画。
Branding Engineer(7352)
株価 1,050円
いくらから
買える?
10万5,000円
2022年の株価上昇率  27.12%
業種 サービス
どんな会社? フリーランスのITエンジニアと企業を結び付けるマッチングサービスが柱。IT人材向けのライフスタイルマガジンなど10以上の自社メディア企画・運営も行う。2022年8月期の経常利益は前期比35.4%増の1億7,800万円となる見通し。広告費の増加やオフィス移転費用などを計上するが、エンジニアの増加や独自システムによるマッチングの効率化で利益率の上昇を見込んでいる。企業のDX化を追い風にIT人材の需要は中期的な拡大が見込め、成長余地は大きいとみられる。
アグレ都市デザイン(3467)
株価 1,836円
いくらから
買える?
18万3,600円
2022年の株価上昇率  17.09%
業種 情報・通信
どんな会社? 東京・神奈川を地盤に一戸建て住宅の販売事業を展開する。2022年3月期の経常利益は前期比70.6%増の19億4,000万円となる見通し。途中で2度の上方修正を行っている。新型コロナウイルス禍による在宅時間の増加で住環境への意識が高まり、住宅需要が好調に推移している。特に販売価格が上昇傾向にあって、利益率の上昇につながっているもよう。2022年3月期の売上高は237億円、純利益は13億円を見込む。中期計画では、2027年3月期に売上高400億円、純利益20億円を目標とする。