米国株は今週も下げを見せる可能性あり

 そして最後に、前回のレポートでも指摘した、日米株式市場のギャップについても考えていきたいと思います。

 先週の米株市場は、主要3指数(NYダウ[ダウ工業株30種平均]・NASDAQ・S&P500種指数)が最高値圏から下落する場面が目立ち、「好調な米株に対して、腰が重い日本株」という構図が一服した格好です。

■(図5)NYダウ(日足)のボリンジャーバンドとRCI(2021年11月12日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図5は、上段がNYダウのボリンジャーバンド、下段がRCI(順位相関指数)で、前回、「売り待ち」のテクニカル指標として紹介したものです。

 具体的には、(1)株価がプラス1σ(シグマ)を下抜け、「バンド・ウォーク」が崩れるかどうか、(2)9日のRCIが13日のRCIを下抜けするか、の2点に注目としていましたが、両者ともに達成しています。

 それにより、「連日で最高値を更新!」といった勢いで新値を取りにいく動きはひとまずストップした可能性があります。となると、今週の米国株についてはまだ、下げを見せる場面があるかもしれません。

■(図6)NYダウ(日足)のフィボナッチ・ファンとMACD(2021年11月12日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 確かに、上の図6下段のMACDを見ても、シグナルを下抜けクロスしており、下げが続く可能性があります。

 とはいえ、25日移動平均線までは距離があり、9月20日の安値を11月8日の高値の上昇幅の「38.2%押し」「50%押し」「61.8%押し」の水準を線で結んだ「フィボナッチ・ファン」のそれぞれのラインもまだ下方向に位置しています。

 仮に株価が下げる展開になったとしても、これらがサポートとして機能しているあいだは、「まだ大丈夫」という判断の目安にして良いかもしれません。逆にこうしたサポートが次々と破られてしまった場合には、市場のムードが一気に変わり、さらなる下押しに警戒が必要になります。

 いずれにしても、今週から日米の決算発表シーズンが一巡することになり、資源価格の状況や、米金利動向、経済指標などの景況感などに相場の視点が移ることになります。

 国内では7-9月期のGDP(国内総生産)をはじめ、9月機械受注、10月消費者物価の発表が予定されているほか、米国では、10月の小売売上高や鉱工業生産、住宅着工件数などの発表が控えています。

 中国でも週初の15日に10月の小売売上高と鉱工業生産が予定されているため、経済指標の結果に敏感に反応する場面もありそうです。

 したがって、今週の日本株は、出遅れ感の修正期待がくすぶる中、景況感をにらみつつ、日経平均3万円台への地ならしから解き放たれるかどうかが注目される週になりそうです。