エリオット波動も再び上値トライへの期待が強い

 また、相場のリズムで確認しても上方向への意欲の維持が感じられます。

■(図2)日経平均(日足)とエリオット波動(2021年11月5日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2はここ数回のレポートでも紹介している、日経平均の値動きを波で捉えたものになります。

 8月20日の年初来安値から9月14日の年初来高値更新までの日経平均は、ピンク色の矢印が示しているように、上昇基調のリズムを描いていましたが、4波が上昇1波の高値を下回ったことで、オレンジ色の矢印が示す下落のリズムへと転じました。

 前回のレポートでは、下落のリズムの波の修正局面(4波)でもみ合う「もちあい」の状況となっていましたが、先週の値動きによってもちあいを上放れし、さらに、下落1波の安値(2万9,573円)を超えたことで、下落リズムを打ち消す格好となりました。

 週末にかけての株価の失速は、下落1波の安値という節目を突破したことによる「リターン・ムーブ」の動きと見ることができます。もちろん、このまま下落が続くことも考えられますが、もちあいを上抜けて、下落リズムを打ち消したことを踏まえると、再び上値をトライする展開への期待の方が強そうです。

3万円達成後の株価目安

 仮に、今週以降の日経平均が上を目指す展開となった場合は、前回のレポートでも紹介した目標値計算が目安となります。

■(図3)日経平均(日足)の目標値計算(2021年11月5日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 前回のレポートでは、オレンジ色の線の目標値計算(N計算値で3万1,134円、E計算値で3万4,636円)を紹介しましたが、今回はもうひとつの目標値計算についても考えてみます。

 具体的には、直近安値の10月6日の2万7,293円から、戻り高値をつけた10月20日の2万9,489円の上昇幅(2,196円)を使った計算になり、上の図3で、ピンク色の線が示しているものがそれに該当します。N計算値で3万668円、E計算値で3万1,685円です。

 そのため、3万円の大台に乗せた後の目標値は、ピンク色のN計算値(3万668円)、年初対高値(3万795円)、オレンジ色のN計算値(3万1,134円)、ピンク色のE計算値(3万1,685円)の順になります。

 図1~図3を見ても分かるように、確かに日本株は上方向への意識を強めてはいますが、連日で最高値を更新している米国株市場の流れにはイマイチ乗り切れていない面があるのは気掛かりです。

 最近の米国株が好調な背景には、(1)米長期金利や資源価格の一服していること、(2)コロナ治療薬と経済再稼働への期待、(3)決算を好感した物色、(4)FOMC(米連邦公開市場委員会)後の米金融政策のハト派姿勢などが挙げられます。
日本株は「世界の景気敏感株」という性格があるため、景気の先行きを好感する動きを織り込むのであれば、もう少し日本株が上昇してもおかしくはなさそうです。ただ、いまのところそのような動きにはなっていません。