下方向の株価目安

 反対に、株価が下落する展開となった場合は、すでに市場が想定している懸念材料(インフレやサプライチェーンの混乱、中国情勢、ネガティブ決算など)に対する反応であると思われるため、過度なリスクオフに陥る状況にならない限り、これまでにも何度か紹介した、移動平均線乖離(かいり)率のボリンジャーバンドが参考になりそうです。

■(図5)日経平均移動平均線乖離率(25日)のボリンジャーバンド(2021年10月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

■(図6)日経平均移動平均線乖離率(75日)のボリンジャーバンド(2021年10月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週の日経平均の値動きで攻防戦となった25日移動平均線、そしてサポートとなった75日移動平均線の乖離率の状況をそれぞれ図5、図6で見ていくと、29日(金)時点のマイナス1σ(シグマ)の値が2万7,500円の水準で一致しています。

 この2万7,500円の株価水準は5月や7~8月の下落局面で下値のメドとなっていたこともあり、節目として強く意識されそうです。

 今週は選挙の結果に対する初期反応からスタートすることになりますが、その後は、業績動向をあらためて織り込みに行けるかどうかが焦点になります。今週はトヨタや任天堂などをはじめとする600銘柄弱の国内企業が決算を発表する予定です。

 足元の日本株は、決算を受けて主要株価指数が最高値圏で推移する場面を見せた米国株市場とは、対照的な動きとなりました。その米国では決算発表がそろそろ落ち着きを見せつつあるほか、11月相場入りとなることもあり、月初恒例の雇用統計やFOMCが予定されており、結果待ちムードが強まる可能性があります。

 さらに、PMI(製造業購買担当者景気指数)の発表や、債務の利払いが立て続けに予定されている中国恒大集団の動向も気掛かりです。

 とはいえ、日本株は選挙というイベント通過や、決算を手掛かりに、しばらくは動意づく展開が見込まれ、今週はその方向感を探る週になりそうです。