エリオット波動と週足チャートから読む新たな相場展開

 また、次の展開待ちという面では、値動きのリズム(波)からもうかがえます。

■(図2)日経平均(日足)とエリオット波動(2021年10月29日時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 上の図2は前回のレポートでも紹介した、日経平均の値動きを波で捉えたものになります。

 8月20日の年初来安値を起点とした日経平均は、9月14日の年初来高値更新までのあいだは、上昇基調のリズムを描いていたのですが、以降は下落のリズムに転じていると思われ、足元では、下落のリズムの波の修正局面(4波)に位置している状況と考えられます。

 先ほどの図1でも述べた通り、先週の値動きは方向感に欠けていたこともあり、ちょうど図2の青い線で囲まれた、いわゆる「三角もちあい」のような格好になっています。もちあいの形成は市場のエネルギーが蓄積され、もちあいを抜けた方向に動きやすいとされます。

 もちろん、下方向に抜けて下げが加速してしまう可能性もありますが、図1では買い意欲の強さが感じられていることから、チャートだけで判断するのであれば、上方向に抜ける可能性の方が高いかもしれません。

 となると、「4波くずし」の目安とされる2万9,573円を抜けた辺りから上昇が加速するシナリオも想定されます。

 最近の相場展開は、年初来安値(8月20日)から年初来高値(9月14日)までが18営業日、そこからの10月6日の安値までが15営業日といった具合に、短い期間で大きく動いてきたことを踏まえると、思ったよりも早いペースで相場が動くことも考えられます。

 さらに、週足チャートからも、新たな相場展開を感じさせる点があります。

■(図3)日経平均(週足)の動き(2021年10月29日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 週足チャートでも、図1のように、3本の移動平均線(13週・26週・52週)が密集しています。

 チャートを過去にさかのぼると、同様に移動平均線が密集している箇所がいくつかあるのですが、いずれもその後の相場に方向感が出ていることが分かります。