「どっちかの夜は昼間」。米国と日本の時差を確認

 2018年に「ダサかっこいい」で一世を風靡(ふうび)した、DA PUMPのUSAの終盤に、興味深いフレーズが出てきます。「どっちかの夜は昼間」です。このフレーズは、パジャマ トレーダーの活動時間や米国と日本の時差を考える上で、有用です。

 海外旅行になじみがある人の中には、日本と米国を行き来するときは、日付変更線を越えるため、「1日を足し引きする」、具体的には、日本から米国に行くときは1日を引き、米国から日本に帰る時は1日を足して日時を調整する、と覚えている方もいると思います。

 市場関係者が時差を認識する際、筆者としては、以下の考え方が合うと考えています。欧州を含んだ全体像を把握できるためです。時差の考え方のもととなった、天文学や地理学などの発達が英国を起点としていることや、日本が極東の島国であることなども、認識できます。

図:ニューヨークと東京の時差(北半球が冬:欧米通常時間、オセアニア夏時間の場合)

出所:筆者作成

 地表を縦に分割する「経線」の起点であるロンドン郊外のグリニッジ天文台(経度0度)から東に135度の地点に東京、西に75度の地点にニューヨークがあります。両地点は210度分、離れているわけです。

 この210度を時差の目安である「経度15度で1時間の時差(360度÷24時間)」を加味すると、両地点の時差が14時間であることが分かります。これは、欧米が通常時間(夏時間との対比で、おおむね北半球が冬の時)の場合です。

 以下は、欧米が夏時間(サマータイム)の場合です。ニューヨークと東京の時差は1時間縮まり、13時間です。米国は毎年3月中旬に夏時間入りし、毎年11月上旬に夏時間が終了します。欧州の夏時間は、米国よりも数週間遅く始まり、数週間早く終了します。

図:ニューヨークと東京の時差(北半球が夏:欧米夏時間、オセアニア通常時間の場合)

出所:筆者作成

 13時間や14時間という時間差が、どのような意味を持っているかと考えると、「ほぼ半日」というキーワードが想起されます。東京とニューヨークの時差上の関係は「昼夜がほぼ真逆」であり、この点を言い得たのが、「どっちかの夜は昼間」なのです。

 また、図の右側(東側)に、日付変更線があります。夜が明けるのも、太陽が南中するのも、日が暮れるのも、地球の自転により、東側から始まりますが、日付変更線は、地球全体のこれらの起点(時間的な起点)の役割を担っています。

 時間の起点が東であることを示すため、図の右側に「(時間的に)先」、左側に「(時間的に)後」と記しました。

 ニューヨークが夏時間の時、東京との時差は13時間で、時刻は東京の方が13時間先(ニューヨークは13時間後に、東京と同じ時刻になる)、通常時間の時、時差は14時間で、時刻は東京の方が14時間先(ニューヨークは14時間後に、東京と同じ時刻になる)になります。