米国株式市場の見通しは?

 米国株に限らず、株式相場はさまざまな要因で上下します。とりわけ影響が大きいのが、中央銀行の金融政策です。

 2020年は新型コロナによって大打撃を受けた経済を立て直すために、FRB(米連邦準備制度理事会)は量的緩和という金融政策を始めました。

 量的緩和とは、FRBが債券を大量に購入することで、市場に現金が行き届きやすくなると同時に、政策金利(短期金利)を引き下げることで企業や個人がお金を借りやすくしています。

 こうすることで、新型コロナで停滞している経済を活性化させようというわけです。実際に米国では現金給付が何度も実施され、国民に継続的に現金が支給されました。

 そして、市場にバラまかれたお金が株式市場へ流れ込んだことで株価が上昇し、S&P500は2021年7月2日終値で4,352ポイントと、1997年以来で初となる7日連続で最高値を更新しました。2020年3月23日の2,237ポイントから、95%もの大暴騰です。

 そして、2021年6月中旬に、FOMC(米連邦公開市場委員会)にてパウエルFRB議長は、米国経済の力強い回復を理由に、量的緩和の段階的縮小を議論すると示唆しました。いわゆるテーパリングですね。同時に、2023年末までに2回の利上げの可能性も示唆しました。

 つまり、これまでの「金融相場」が終わりを迎え、今後は企業の売り上げや利益成長に沿った「業績相場」に移行していくことになります。

 実際に、これまでの景気回復局面で上昇してきたバリュー株をグロース株がアウトパフォームする転換が、6月中旬に発生しています。

 S&P500グロース指数ETF(上場投資信託)のSPYGと、S&P500バリュー指数ETFのSPYVの直近1カ月の株価推移を見ると、SPYV▲0.2%の下落に対して、SPYG+5.9%と上昇しています。

 それでは続いて、この現状を踏まえて、2021年下期に検討すべき米国株5銘柄を紹介します。