執筆:ロジャーパパ
最近、米国株投資家が増えているといわれています。
また、コロナ・ショックにより、世界中の中央銀行が大量の現金を市場に投入し続けていて、そのお金が成長期待の高い米国株に流れ込んでいます。
とはいえ、米国株は今だけの一時的なブームではありません。投資初心者であっても、優れた米国株を長期で運用すれば、誰でもほぼリターンを得られる優良な金融商品なのです。もちろん、英語力も必要ありません。
なぜ米国株がいいのか?3つの理由
そこで、なぜ米国株に投資すべきか? について、3つの理由を紹介します。
なぜ米国株がいいのか1:米国はGDPが世界1位
まず米国は、世界一の経済大国、名目GDP(国内総生産)世界1位は米国です。
ちなみに2位の中国の経済成長率は、米国の約3倍ありますが、その国の豊かさを示す指数といわれる国民一人当たりのGDPでは、世界63位。約110万円程度しかなく、米国のわずか6分の1です。これが今でも中国が新興国と呼ばれる理由です。
世界最大の人口が国単位でのGDPを押し上げますが、貧富の差がとても激しく、また国家体制からくる政治リスクもあります。
なぜ米国株がいいのか2:米国株は長期で見ると上昇し続けている
2つ目は、米国の株価は長期間で上昇し続けているからです。
米国を代表する株価指数のS&P500種株価指数は、ITバブルやリーマン・ショック、そしてコロナ・ショックと歴史的な暴落を何度も経験しながらも、株価は直近30年で11.5倍にも成長しています。
1991年7月1日のS&P500は374ポイントでしたが、2021年7月1日現在は4,319ポイントです。
ちなみに、S&P500は過去100年で、マイナス30%以上の歴史的な暴落に8回ほど見舞われていますが、その全ての暴落から株価を回復させ、最高値を更新し続けています。
なぜ米国株がいいのか3:米国株は高配当かつ連続増配銘柄が多い
そして、3つ目の理由は、米国株には高配当、かつ連続増配銘柄が多い点です。
例えば、世界的大企業のエクソンモービルは約5.5%もの高配当を株主に還元しています。100万円投資すれば、1年で5万5,000円の配当金がもらえます。
また、IBMも約4.5%と高配当ですが、これは一時的なことではなく、21年連続で増配しています。
エクソンは新型コロナウイルスの影響で、連続増配こそ37年でストップしましたが、1株0.87ドルの四半期配当金を維持していて、減配はしていません。
ちなみに米国には50年以上も連続増配している企業が30社近くもあります。例えば、プロクター・アンド・ギャンブルは64年、スリーエムは62年、ジョンソンエンドジョンソンも58年連続で増配をしています。
米国株式市場の見通しは?
米国株に限らず、株式相場はさまざまな要因で上下します。とりわけ影響が大きいのが、中央銀行の金融政策です。
2020年は新型コロナによって大打撃を受けた経済を立て直すために、FRB(米連邦準備制度理事会)は量的緩和という金融政策を始めました。
量的緩和とは、FRBが債券を大量に購入することで、市場に現金が行き届きやすくなると同時に、政策金利(短期金利)を引き下げることで企業や個人がお金を借りやすくしています。
こうすることで、新型コロナで停滞している経済を活性化させようというわけです。実際に米国では現金給付が何度も実施され、国民に継続的に現金が支給されました。
そして、市場にバラまかれたお金が株式市場へ流れ込んだことで株価が上昇し、S&P500は2021年7月2日終値で4,352ポイントと、1997年以来で初となる7日連続で最高値を更新しました。2020年3月23日の2,237ポイントから、95%もの大暴騰です。
そして、2021年6月中旬に、FOMC(米連邦公開市場委員会)にてパウエルFRB議長は、米国経済の力強い回復を理由に、量的緩和の段階的縮小を議論すると示唆しました。いわゆるテーパリングですね。同時に、2023年末までに2回の利上げの可能性も示唆しました。
つまり、これまでの「金融相場」が終わりを迎え、今後は企業の売り上げや利益成長に沿った「業績相場」に移行していくことになります。
実際に、これまでの景気回復局面で上昇してきたバリュー株をグロース株がアウトパフォームする転換が、6月中旬に発生しています。
S&P500グロース指数ETF(上場投資信託)のSPYGと、S&P500バリュー指数ETFのSPYVの直近1カ月の株価推移を見ると、SPYV▲0.2%の下落に対して、SPYG+5.9%と上昇しています。
それでは続いて、この現状を踏まえて、2021年下期に検討すべき米国株5銘柄を紹介します。
2021年下期に検討すべき米国株5銘柄
期待の米国株1:全米株式バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)
まずは、全米株式バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)です。
中小企業を含む米国上場企業約3,800社に連動するETFですね。経費率も0.03%と格安で、運用資産残高も米国ETFトップ4位の流動性を誇っています。まずはVTIを米国株投資の中心に据え置けば安心という銘柄です。
楽天証券であれば、VTIの買付手数料は無料です。ただVTIは1株購入するのに約2万5,000円必要なので、投資金額にそこまでの余裕がない人は、投資信託の楽天・全米株式インデックス・ファンドであれば100円から購入可能なのでオススメです。
期待の米国株2:アルファベット(GOOGL)
続いての注目銘柄は、主にグーグルのサービスを提供しているアルファベット(GOOGL)です。
新型コロナによって失速している経済は、いま本格的な回復局面へ突入しています。
コロナワクチンの集団接種が完了すれば外食はもちろん、旅行やエンタメも本格的に再開しますよね。
人々の消費が回復すれば、企業も広告活動を本格的に再開します。そうなると広告が売り上げの約8割を占めるグーグルには追い風です。
実際、新型コロナワクチンが承認された2020年末以降、2021年の年初来株価推移を見てみると、GAFAM(IT5社=Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の中では、Googleの上昇率は約47%とダントツの1位です。
期待の米国株3:バンガード・米国グロースETF (VUG)
もし金融相場から業績相場へと移行していく中で、グロース銘柄に分散投資したいなら、米国グロースETF (VUG)が検討に値します。
VUGは、米国大型グロース株、約270銘柄の時価総額加重平均に連動するETFです。EPS(1株当たり純利益)の成長予想とEPS過去3年実績や、売り上げ成長の過去3年実績、さらには、純資産利益率から投資対象を決めます。
グロースETFはインベスコQQQ 信託シリーズ1(QQQ)も人気がありますね。QQQはナスダック100指数に連動しますが、これはハイテクを中心に金融を除く100銘柄に分散投資するETFです。
2010年代は、まさにハイテク株が急上昇しました。ただ、これから2020年代も同様にハイテクが伸びていくのかは分かりません。
VUGであればハイテクが伸びればハイテクに、別のセクターが伸びればそのセクターに連動して投資してくれるので安心です。
期待の米国株4:プロクター・アンド・ギャンブル(PG)
もし、より安定した運用を望むのであれば、ディフェンシブ株の王様プロクター・アンド・ギャンブル(PG)がオススメです。
2020年2月末に始まったコロナ・ショックでS&P500が34%暴落した一方で、P&Gはマイナス19%と限定的な下落にとどまりました。
P&Gは59年もの連続増配記録を誇る上に、129年も配当金を支払い続けている実績もあります。これぞまさにバリュー株たるゆえんですよね。2021年7月上旬現在の配当利回りは2.56%です (出所:Yahoo! Finance英語版)。
期待の米国株5:マイクロソフト(MSFT)
値上がりも配当も両方いいとこ取りを狙いたい! そんな欲張り投資家におすすめの銘柄がマイクロソフト(MSFT)です。
10年前の2011年、S&P500時価総額トップ3は、1位エクソン、2位アップル、3位マイクロソフトでした。2001年のトップ3は、1位GE、2位マイクロソフト、3位エクソン。
そして、2021年6月22日、マイクロソフトの時価総額は2兆ドル(約221兆円)に到達した史上2番目の米上場企業として歴史に名を刻みました。
さらに同社は20年以上にわたり、S&P500時価総額トップ3を維持している唯一の銘柄です。現在のマイクロソフトの配当利回りは0.81%。決して高配当ではありませんが、11年連続で増配しています。
米国株投資の2つの心構え
最後に、米国株投資ビギナーの方へ、2つの心構えをお伝えします。
米国株投資の大事な心構え1:長期視点を貫く
まずは長期視点を貫きましょう。1つ目に紹介したバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)は、20年を超える長期で運用した場合、過去の実績においてマイナスになったことはありません。とはいえ、常に右肩上がりに上昇するわけでもありません。
自分の株式資産が10%、20%と目減りする場面に直面すると「今売らないとヤバいのでは?」という不安に駆られます。
そんなときに、この長期視点を貫く覚悟を思い出してください。そうすれば、20年後や30年後に、必ず納得のいくリターンを手にできているはずです。
米国株投資の大事な心構え2:売却欲を想定しておく
2つ目の心構えは、売却欲を想定しておくことです。
先程の「暴落すると不安で売りたくなる」というのも、ある意味、売却欲ですが、逆に、米国株投資を開始して、想定以上に利益が膨らんでくると「この辺で売却して利益を確定した方がいいのでは?」と思いがちです。
「いったん売却して今の含み益を確保しよう。また下がったら買えばいいんだし」と考えてしまいます。ところが、株価が上がったら売却して、下がったら購入するなんてことは、投資初心者が成せるワザではないでしょう。
しっかり配当金を追加投資しながら、時間を味方につけて、長期でコツコツ資産運用を続けていく、米国株はそんな運用に向いていると考えています。
ロジャーパパさんプロフィール
ハロー、ロジャーパパです。
YouTubeチャンネル「ロジャーパパ米国株投資」(登録者7万人、2021年7月時点)にて米国株の投資法を発信しています。YouTube以外でも、セミナー登壇や情報誌の掲載などを中心に活動しています。
投資歴は、株式12年、不動産4年。今は米国ETFと米国不動産を中心に運用中です。
米国大学院で修士号を取得後、外資を3社渡り歩いて、今は米国IT企業に勤務する会社員でもあります。
金融のプロとは違った会社員投資家ならではの目線を、常に大切にしています。とにかく分かりやすく銘柄紹介やテクニカル指標を解説する! これがモットーです。
米国株投資だけでなく、FIRE(経済的自立を達成してセミリタイア)についても、情報発信しています。
1977年生まれ。東京出身。2児の父。趣味はテニスとグルメ。
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